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ビル・ゲイツが中国政府を訪問=新型原子炉開発の提携について協議

2011年12月09日

2011年12月7日、米マイクロソフト社創始者のビル・ゲイツ氏は中国科学技術部を訪問し、新型原子炉「進行波炉」開発の協力提携について会談した。


Trojan Nuclear Power Plant
Trojan Nuclear Power Plant / tobo


■ビル・ゲイツとクリーンエネルギー

ビル・ゲイツ氏は2006年に経営の第一線から身を引いた。以後は慈善活動、クリーンエネルギー開発に積極的にかかわるようになる。新型原子炉開発もその一つ。米原子力開発企業テラパワー(ウィキペディア)のオーナーとして、「進行波炉(ウィキペディア)」の開発を進めている。

進行波炉とは、濃縮ウランを使う現行の原子炉とは違い劣化ウランを燃料とするもの。原子炉を稼働させた後、燃料の劣化ウランがゆっくりと反応を続け、60年以上も燃料交換しないで発電が可能となる。原子力兵器への転用が可能な濃縮ウランを必要としないこと、核廃棄物が少ないことなどのメリットがある。

従来の原子炉と比べメンテナンスが容易であることから、アフリカなど途上国のエネルギー源としても期待できる。


■ビル・ゲイツの北京訪問

12月7日、北京市を訪問したビル・ゲイツ氏は、中国科学技術部を訪問。張来武副部長と会談した。京華時報によると、アモイ大学、国家原子力発電技術公司、中国核工業集団公司などの関係者もビル・ゲイツ氏の訪問を認め、テラパワー社が複数の中国原子力関連機関、企業と接触していると認めた。

実際、今回の会談が取り立てて特別な意味を持つわけではなく、ビル・ゲイツ氏は2009年以来、数回にわたり中国を訪問し、政府高官や原子力企業幹部と接触し協議している。

もっとも進行波炉は研究中の技術で、実現するのはまだ先となる。ビル・ゲイツ氏は今後5年で最大10億ドル(約777億円)を研究開発に投じる方針を示している。中国は第12期5カ年計画(2011年~2015年)に第3世代原子炉の商用運用を開始する予定。進行波炉を含む第4世代原子炉の本格的な推進が始まるのはその後になると見られる。


■新エネルギー開発に邁進する中国

進行波炉、トリウム炉、高速増殖炉などの新型原子炉開発。さらには太陽エネルギー、風力発電、バイオマスといった自然エネルギー。そして海底油田や天然ガスなど化石燃料のさらなる開発と、中国はあらゆる分野のエネルギー開発に力を注いでいる。

13億人の人口を抱えるがゆえに、中国政府にとって資源・エネルギー確保は最大の課題とも言えるだろう。ビル・ゲイツ氏との提携が突破口となれば喜ばしいことこの上ないが、「最大限の安全確保を」とお願いしたくもある。


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