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2011年12月10日
*画像は人民網の報道。
■経緯
10月5日、メコン川タイ北部流域で中国輸送船2隻が武装した兵士に襲撃され、中国人船員13人が殺害される事件が起きた。船員は拘束された後、目隠しされ後ろ手に縛られた上で銃殺され、遺体は川に捨てられた。当初は麻薬密輸組織など現地武装勢力の仕業と見られていたが、タイ政府は後に同国兵士の犯行だったと発表している。
タイ軍が麻薬密輸に従事していたのか、襲撃した動機はなにかなど、事件についてはいまだ明らかになっていないことが多い。
中国国内では自国民を守れない「弱腰政府」を非難する声が上がったほか、メコン川の水運に従事していた中国人が不安に駆られて一斉に帰国するなどの問題も起きた。対応を迫られた中国政府はタイ、ミャンマー、ラオスと協議を重ね、10月31日に合同巡視部隊を設立することで合意。12月10日、ついに巡視がスタートした。
合同巡視は危険水域のみをピンポイントでカバーするものだが、中国の兵士(なお人民解放軍ではなく、武装警察が派遣される)が海外に駐留し警戒任務につくのは、国連平和維持活動(PKO)などを除けば初の事態となる。人民解放軍は国土防衛を主眼とした構成から、海外での展開を可能にした構成へと転換の途上にあるが、その意味でも合同パトロールは里程標的な出来事と言える。
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