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2011年12月12日
鳳凰網の記事「实拍女囚临死前的十二小时」(実録:女性死刑囚の死刑執行12時間前)をご紹介します。タイトルの通り、女性死刑囚の刑が執行される前の姿をとらえた写真特集です。英字ニュースサイトのメール・オンラインも転載していますが、笑顔で死刑を受け入れる彼女たちの姿はかなり衝撃的です。
■犯罪者をさらし者にする国
記事の解説によると、写真が撮影されたのは2003年6月24日、25日。国際麻薬乱用撲滅デー(26日)前日の25日、湖北省武漢市では麻薬関連容疑で死刑判決を受けた女性死刑囚4人の刑が執行されました。写真は女性死刑囚の24日から25日にかけての姿、すなわち彼女たちの「最後の夜」を撮影したものです。
死刑囚の目線にはモザイクが入れてあるとはいえ、彼女たちの最後の姿をここまで堂々と報道できる国とはなんなのかと考えさせられます。中国では刑事犯がさらし者にされることはよくありました。また、文化大革命での吊し上げもそのバリエーションともいえるでしょう。
海外からも強く批判され、今ではさらし者にされることも少なくなってきましたが、ついこの間までは、首には罪状を書いたプラカードを下げた犯罪者が、公衆の面前でさらし者にされるというのはごくありふれた光景だったのです。
記事の背景にはそうした中国の歴史があります。また国際麻薬乱用撲滅デーということで、麻薬犯の悲惨な末路を宣伝する見せしめの意味も含まれた記事だったのでしょう。また、「最後の夜」に好きなものを食べさせてやったり、死刑前に化粧してやったりと、中国当局の温情をアピールする狙いもあります。
■胸が詰まる写真
特集は全部で28枚の写真で構成されています。その一部をご紹介しますと、
*24日夜、死刑執行時に着る服を床に並べる死刑囚。服は死刑囚の要望に応じて、看守が買ってきたもの。
*24日夜、看守にライチを食べさせてもらう死刑囚。
*25日朝、ペディキュアを塗る死刑囚。
*25日朝、もう不必要となった自分の服を他の囚人にあげる死刑囚。
*25日朝、最後の朝食。左の女性は昨夜、死刑囚全員に配られたマクドナルド(のパイ?)を食べている。2003年時点ではマックがまだ高級品だったんだなと実感。
*25日朝、刑場へと向かう死刑囚。死刑囚のうち、涙を見せたのは1人だけだったという。
■人が死ぬということ
泣き崩れたり暴れたりという写真はなく、看守や他の囚人と談笑していたり、化粧をしていたり、ご飯を食べていたりという写真ばかりなのですが、この人たちは翌日死刑になるんだと思って見ると、本当に多くのことを考えさせられます。
特に東日本大震災があった今年は、人はいつ死ぬかわからないものだということをいやというほど教えられた一年でもあります。この写真特集を見ていると、人の命をはかなさをつづった『徒然草』を読み返してみたくなりました。
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*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。