中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年12月12日
Shinkansen N700 series / kubotake
中国の高速鉄道の大事故(7月23日)から、早いもので3ヶ月がたった。
(*当記事は2011年10月27日に執筆されたものです。)
*中国新聞網の報道。
高速鉄道の追突・転落事故で32人死亡=制御システムのトラブルか―中国
その間、ビルマに新しい中国離れの動きが見られるが、鉄道関係ではない。一方タイでは、中国からの列車が乗り入れられるように、レールのゲージをタイ伝統のメーター・ゲージ(軌道の幅が1000ミリ)から、中国で広く採用されている標準ゲージ(1435ミリ、日本の新幹線も)に変えようという声が出てきている。
■「中国高速鉄道事故」がもたらした日本のビジネスチャンス
中国の新幹線事故は、日本に新たなビジネス機会を提供している。「ラオスやタイの高速鉄道を日本の新幹線の技術で!」という売り込みである。日本の新幹線が過去自発的な死亡事故もなく、最高に安全な高速鉄道だということは世界に知られている。しかし、やはり値段が高い。オーバー・スペックとは言わないが、途上国に高額インフラは無理だ。
しかし、交渉の余地はある。中国の事故の後、さっそく用意のあることをタイの運輸省に伝えた日本だが、ここにきてフィージビリティー・スタディ(費用対効果調査)のコンサルタントをやろうと申し出ている。対象は、チェンマイ・バンコク間の予算2300億バーツ(約5830億円)の高速鉄道敷設計画である。
754kmに及ぶ高速鉄道計画を、日本政府がコンサルタントを雇い、4ヶ月かけてスタディしようというものだ。調査の中身は、投資コストとベネフィットの見合い、ルートの選択、駅の数、レール・ゲージの選択、鉄道運行システム、乗客数の見込みなどである。
新幹線ツバメ / 柏翰 / ポーハン / POHAN
■本格的なプロジェクト参画を狙う日本
日本としては、このフィージビリティ・スタディ(費用対効果調査)を受けて、プロジェクトに投資したい意向である。一方ラオスでは、中国の協力で雲南省の昆明からラオスの首都ビエンチャンまで高速鉄道を敷き、さらにそこからタイ国境のノンカイにはいり、バンコクへ繋げることを計画している。
しかし、この計画は今もめているようだ。中国が資金提供する代わりに、沿線土地の利用をさせろという要求に対して、ラオスは首を縦に振っていない。中国側の過度な要求が抵抗にあっている形だ。
この2つの線以外の残り3つに対しても、タイ運輸省は来年のフィージビリティー・スタディ(費用対効果調査)予算を確保している。その他3つの高速路線計画とは、
(1)バンコク・コラート路線 256km
(2)バンコク・ピサヌローク路線 382km
(3)バンコク・ホアヒン路線 225km