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2011年12月14日
*画像は杭報在線の報道。「清網活動」の一環として、逃亡犯に自首を呼びかける画像。熊のぬいぐるみを使ったかわいい画像をマイクロブログにアップするという、不思議な手法が話題を集めた。関連記事。
■事件の経緯と9年後の再捜査
警察の調べによって、容疑者はハルビン市在住の無職、楊樹彬、張玉良、呉宏業。そして吉林市のホステス・戢紅傑の4人と判明する。売買春名目で風俗嬢2人を貸部屋に呼び出し、現金16万元(約192万円)を奪った末に殺害。遺体を「挽き肉」にして下水に流していた。
容疑者は判明したものの、その行方はようとして知れない。指名手配がかかったまま、9年の歳月が流れた。
今年、中国警察は「清網活動」という指名手配犯の再捜査キャンペーンを実施している。ハルビン市警察はこの殺人事件に目を付け、再調査を進めた。手がかりとなったのは楊樹彬の弟・楊樹凱だ。彼は名前を「王学凱」に改名し、内モンゴル自治区包頭市に住んでいることが明らかとなった。
包頭市での内偵を進めると、同じ住所に戸籍を登録している王学礼、王学国、馬燕海らがまさしく吉林市の「挽き肉」殺人事件の容疑者たちであることが明らかとなった。彼らは名前を変え、容疑者としての身分を捨てた上で、引っ越しを繰り返し内モンゴル自治区に住んでいた。自宅を購入していたばかりか、自分たちのお店まで持っていたという。
■風俗嬢10人が殺害された連続強盗殺人事件
11月、警察は彼らを逮捕。身柄をハルビン市に移した。取り調べの結果、驚くべき事実が明らかとなる。「挽き肉」事件は吉林市の一件だけではなかった。1998年から2004年にかけ、広東省や浙江省でも同様の犯罪を繰り返していたのだ。合計で6件、10人の風俗嬢が殺害され、体を粉々に砕かれていたことが分かったのだ。この凶悪な強盗殺人事件の結果、楊樹彬ら一味は200万元(約2400万円)の金を手にしたという。また強盗殺人以外でも、誘拐3件、傷害致死1件の余罪も明らかとなっている。
10人が殺される凶悪な連続強盗殺人事件。センセーショナルな事件の内容もさることながら、10年近くがたった今、ようやく事件の存在が明らかになったという点も、社会に大きな衝撃を与えるものだろう。
そも、弟の戸籍記録を照会したらあっという間に解決できてしまったというあたりに中国警察のやる気のなさを感じずにはいられない。あるいは犯人たちは「挽き肉にして下水に流せば事件にならない」「発覚しても、1省あたり1人、2人の殺害だったら、そんなに本気で捜査しないだろう」と警察のやる気のなさをを読み切っていたのかもしれない。
中国経済網、法制晩報を主に参照した。
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亡くなった犠牲者たちが、殺されるまで、長期間にわたって監禁・暴行など受けていないとよいのですが。