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2011年12月16日
*bangkok postの報道。
ドン・ムアン空港の水も12月半ばには引ける見通しとなり、政府は水の引けた後、来年2012年5月の雨季入り前までに行わなければならない洪水対策の策定に忙しくなっている。じきに、バンコク周辺の水路の策定や、工業団地の防水策が定められる。そんな中、「スーパー・トンネル」はどうなるだろうか?
■画期的な洪水対策案「スーパー・トンネル」
以前いくつかの洪水対策として紹介したうちのひとつ、スーパー・トンネル水路案は、既存の道路や建物、また土地の上下にわずらわされないことから、出来上がればその効果は大きそうだ。首都バンコクのティーラチョン副知事が支持している(しかし、決めるのは政府だ)。
洪水路の上に建設された工業団地=急成長の功罪―タイ(ucci-h)
高さ10m、横幅24m、100kmに及ぶトンネルは、上下段、2段になっていて、上段5mに関しては、普段は片側3レーンの道路として使われるアイデアだ。下段だけでも1日1億3000万トンの排水能力をもつという。大洪水の時、上段も使えば、その能力は2倍の1日2億6000万トンとなる。また、トンネルの垂直シャフトを利用して、500メガワットほどの発電まで出来るというのだ。しかしこの計画、完成までに2年を要し、2000億バーツ(約4970億円)という巨額のコストがかることがネックだ。
*ポストトゥデーの報道。
■トンネル掘削に関しては実績のあるタイ
バンコクには地下鉄以外にも、地下トンネルの実績はある。ラーマ9世通りとラムカムヘン通りを結ぶ直径5mの5kmに及ぶ配水管(毎秒60㎥)が今年の2月に出来上がっている。バンコク市はほかに3つの同様なトンネルも計画している。3つのトンネルの長さは合計29kmにも及ぶ。
Quiet in the Bangkok underground / antwerpenR
海外を見ても、シカゴには174kmのトンネルがあるし、隣国のクアラルンプールも2段9.7kmの新しいトンネル建設を承認している。また、シンガポールのトンネル・ネットワークは300kmに及ぶといわれる。
さて、政府はどんなウォーターウェイの案を出してくるのだろうか?
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洪水募金情報:
タイ洪水被害への義援金・募金受付まとめ(メモノメモ)
東南アジア(タイ以外|カンボジア、ベトナム、ミャンマー(ビルマ)、ラオス)の豪雨被害に対する義援金、募金、寄付受付がないか調べてみた(メモノメモ)
ナムジャイ・プロジェクト告知ページ
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