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2011年12月16日
*画像は中田英寿氏の新浪微博アカウント。フォロワー数は274万人。
■ネットサービスなのに地方政府が管理?!
「ネットサービスなのに北京市の規定ってどういうこと?!」というのが真っ先に気になるところだが、第2条に「本市行政区域内のウェブサイトが展開するマイクロブログサービス及びそのユーザーは本規定を順守するべし」と書かれている。
つまり、北京市に登記している企業が対象というわけだ。中国マイクロブログ二強の一角にして、「Weibo」(微博、マイクロブログ)という一般名詞をドメインに持つ新浪網は北京市に登記しているため、ばっちり実名性の対象となる。香港紙・明報によると、北京市だけではなく、上海市、広州市でも同様の規定が実施されるとのことだが、二強のもう一角である騰訊は広東省深圳市の登記なので、ひょっとするとしばらくは実名制を導入しないですむ可能性があるかもしれない。
■新浪の危機
マイクロブログの管理体制については当局内部でも検討が続けられていたが、先日、属地管理方式が導入されるとの噂が流れていた。通常の社会管理と同じように、地方政府の任務とすることを決めたわけだが、ずいぶんと乱暴な方法であり、かつ北京市で登記した新浪がとばっちりを食うことになってしまったとも言える。
新浪の株価は今年4月の最高値150ドル前後から下がり続け、今では50ドル前後にまで落ち込んでいる。今回の実名制導入でさらなる株価下落は必至だろう。ユーザーがどれだけ減るかにもよるが、サービスにとっても致命傷となりかねない。
もう一つのポイントはどうやって実名を確認するかだが、これは「規定」にも記載されていない。身分証番号をネットで入力すればいいのか、それとも身分証のコピーを郵送しなければいけないのか、外国人はどうするのかなどなど、細則は今後明らかになるのだろう。ともあれ「規定」に従えば、3カ月後には実名登録していないアカウントはつぶやけないことになる。なお閲覧は可能であり、また実名を登録してもハンドルネーム表示することもできるという。
■実名制でマイクロブログは死ぬのか?
まじめに実名確認をすれば、急成長を続けるマイクロブログというビジネスそのものが死にかねない事態だけに、中国IT企業の皆様も今頃頭を抱えていることだろう。あるいはSNSなど他のウェブサービスを展開している企業はガッツポーズかもしれないが。
もし実名制を期にして中国マイクロブログが滅びるようなことがあれば、中国の過剰な規制がビジネスを殺した典型例として記憶されることになるだろう。
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