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2011年12月19日
12月16日に北京市が16条からなる『北京市微博客发展管理若干规定』を施行し、中国の微博利用に関し身分証の提出を義務付け実質実名制になっていくことは既に日本語のニュースでもいくつか取り上げられているので、ご存じの方も多いでしょう。
■4大微博では新浪と捜狐のみ対象
今回の規定は第2条にあるとおり、「本市行政区域内で微博サービスを展開しているウェブサイト及びそのユーザーは本規定を順守すること」となっているので、4大微博の中では新浪微博と搜狐微博が対象となり、広東省に本拠を置く腾讯微博や网易微博などは対象外になるものと思われます。
■利用者からあがる反感の声
本件は当然、中国国内でも話題となっており、百度などではホットトピックとして『聚焦微博実名制(微博実名制に迫る)』と題して専用ページなどが設けられています。
業界関係者、実利用者からもさまざまな反応が出ており、一部の利用者などは「微博とは社交の場だ。コーヒーショップやお茶屋に近い。そこで実名制が使われてるか?全く持ってナンセンスだ」とか「微博を実名登録にする前に官僚の財産を実名で公開しろ」などという声も見られます。
■情報精度が向上するとの賛同の声も
次に語られているのは実名制が与える今後への影響で、その最たるものは登録ユーザー数が減少するであろう、ということです。確かに実名利用せずに、気軽に微博を楽しみたいというユーザーが微博離れを起こすことが予測されますが、その一方で浄化に繋がるから却って良いという意見も目立ちます。
というのも今回の規定公告の冒頭にあるとおり、虚偽のユーザーや情報が横行していたことや、ゾンビユーザーなどを使ったフォローワーの売買などが数多く行われていたことは事実で、これらが一掃される可能性が高いため、信頼性が高まると歓迎の声もあがっています。
■他都市にも伝搬する可能性が高い
影響としては、他都市、省への伝搬も考えられます。
今回の規定が正式に施行される数日前には上海市や広東省なども実施するのでは、などという噂もありましたし、北京市での様子を見ながら他の都市や省が追随していくことは、当然の成り行きのように感じます。となると、腾讯微博や网易微博などにもいずれ影響を及ぼすかもしれません。
■IT企業への影響
もう1つ影響を上げるとすれば、微博周辺でアプリやツールなど連携ビジネスを展開もしくはこれから展開しようとしている企業などへの影響でしょう。
今回の規定は冒頭でも説明したとおり、元々ユーザーに向けられたものではなく、微博サービスを提供するサービス企業へ向けられたものですが、その規定の『第7条-6』に「通信業務の営業許可を得ていないか、もしくはICPライセンス認定を受けていないWebサイトには情報にアクセスするインターフェースを提供してはならない」とあります。
■海外企業進出の障壁に?
これを文字通り読んでしまうと、中国にサーバを置くほとんどのサイトは影響を受けませんが、海外で中国の微博人気に目をつけ連携しようとする企業や団体は実質上、中国国内にサーバを置かないと連携が不可能になる可能性もあります。
■いまだ不透明な詳細
実名制が身分証提示のみで、実際の微博内で利用できるニックネームは任意のものが使えるのか?など、その他抽象的に書かれている部分が、現時点見えない部分が多いのも事実です。
今後もウオッチを続け、折を見てアップデート情報などお伝えしていきたいと思います。
情報元:北京市微博客发展管理若干规定、《北京市微博客发展管理若干规定》出台、和讯网
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*当記事はブログ「中国マイクロブログ(微博)雑記」の許可を得て転載したものです。