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「アウディを売れ、タクシーに乗ろう」温州のラジカル公用車改革

2011年12月19日

2011年12月、浙江省温州市の公用車改革の目玉であるオークションが実施された。同市国有企業が保有する幹部用公用車がすべて売却される。今後は車の代わりに公用車補助金という現金支給に切り替えられる。19日、南方都市報が伝えた。


奥迪科技日Day 3
奥迪科技日Day 3 / hazeMX


■「三公消費」とラジカルすぎる対策

中国官僚の腐敗っぷりを示す言葉に「三公消費」がある。公用車、出張、接待飲食費を指す言葉だ。一説によると、年間数兆円が「三公消費」に消えていくという。中国政府も浪費を取り締まろうと、中央省庁の「三公消費」総額を発表させるなどの対策を打ち出している。

上に習えと各地方政府も「三公消費」改革を打ち出しているが、温州市の方策はラジカルだ。なんと同市旗下の国有企業が保有する幹部用公用車(トラックなど企業活動に必要な車を除いたもの)すべてをオークションで売却するというのだ。


■高級車がずらりと並んだオークション

対象となる公用車は計600台あまり。オークションは3回に分けて実施されるが、18日に第1回となる170台が売却された。2010年購入のベンツ、2011年購入のトヨタなど、まだ真新しい車も少なくない。ベンツだけではなく、アウディなど「ザ・公用車」とでもいうべき高級ブランド車がリストに並んだ。

170台の落札額は合計で800万元(約9600万円)あまり。平均で1台50万円となる計算だが、43万元(約516万円)というトンデモない値段がついた車もあったという。その車は排気量2000ccのアウディA6だったが、新車を買った方が安く買えるのだとか。オークションでついつい熱くなってしまったのか、あるいはなにか裏の事情があったのかは分からないが……。


■マイ公用車がなくなった後はどうする?

なお公用車ゼロでは困ることもあろうと、事故対処の時などに使用するための公用車が新たに配備される。全企業統一で、同じ車種のピックアップトラックが用意され、燃料補充や整備は市指定の施設で実施される。さらにトラックにはGPSが搭載され、どこを走っていたのか、ナイトクラブに停車していなかったか、すべてチェックできるようになっているという徹底ぶりだ。

マイ公用車を失った国有企業幹部には、その職位に応じて補助金が支給される。市級国有企業トップで月2950元(約3万5400円)。市内をタクシーで移動する分には十分だが、今までのようにお隣の市への出張や、あるいは私的旅行まで全部公用車でというわけにはいかなさそうだ。


■ネット民は冷ややかな反応

このきわめてラジカルな改革案に対して、ネット民は大絶賛……ではなく、「たんなるパフォーマンスじゃないの?」と疑いの声のほうが多いという。あるネット民は「オークション会場に行ったが、公務員が結構入札に参加していた。どうやら公務員にマイカー購入熱がやってきたようだ」と、公務員が格安で車を買える機会になってたのではと皮肉っている。また「古い車を売り飛ばした後、すぐにもっと高級な車を買うんじゃないの?」という書き込みもあった。

はてさて、本当に公用車撤廃は成功するのか。ちょっとした見物である。ただ残念なことに公用車全廃の対象は温州市旗下の国有企業だけ。肝心かなめの市政府の公用車は温存されるようだ。


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