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日本海上保安庁、サンゴ密猟の中国漁船を拿捕=野田首相訪中への影響は?

2011年12月20日

2011年12月20日、長崎海上保安庁は、不法操業の中国漁船の鐘進音船長を逮捕した。韓国海上警察官刺殺問題が注目されている中での拿捕だけに波紋が広がりそうだ。


■事件の経緯

領海内で操業した疑い 長崎海保、中国人船長を逮捕
asahi.com、2011年12月20日

長崎海上保安部は20日、中国籍の漁船、浙象漁(せっしょうりょう)16(推定130トン)の船長鐘進音容疑者(39)を外国人漁業規制法違反(領海内操業)の疑いで現行犯逮捕し、発表した。逮捕した際、漁船側からの抵抗はなかったという。

同海保によると、鐘容疑者は19日午後10時半ごろ、長崎県五島市鳥島の北東約4キロの日本の領海内で許可なく操業した疑いがある。巡視船が停船を命じたが無視して逃走し、20日午前5時半ごろ、鳥島の南西約87キロの海上で海上保安官が巡視船から漁船に乗り移って現行犯逮捕したという。

中国人船長を逮捕=長崎・五島沖領海で漁-海保
時事ドットコム、2011年12月20日

20日午前5時ごろ、鳥島の南南西約87キロの排他的経済水域(EEZ)で、別の巡視船から海上保安官が中国漁船に乗り込み、停船させた。  漁船には船長を含め男11人が乗っていたが、抵抗しなかったという。船内からサンゴが見つかっており、サンゴ漁をしていたとみられる。長を逮捕=長崎・五島沖領海で漁-海保


■韓国海上警察官刺殺事件で逆ギレした中国

15日、韓国近海で違法操業をしていた中国人漁船船長が韓国海上警察に抵抗し、警察官1人を刺殺する事件が起きた。当然のことながら韓国世論は沸騰。韓国十八番の過激パフォーマンスで怒りを露わにした。

20111214_韓国_中国大使館_抗議_1
環球網の報道。中国国旗を燃やす韓国人。


20111214_韓国_中国大使館_抗議_6
*画像は捜狐の報道。「中国の蛮行を糾弾する」と書かれた横断幕。他写真多数。

韓国メディアもこの問題について激しく書き立てたため、中国メディアが逆ギレ。

・漁民個人の問題を中国全体に拡大するな。
・そも漁民はビンボーでかわいそうな子なんやで。
・おまえら騒ぎすぎ。
・本当に韓国の排他的経済水域(EEZ)で操業していたのかな?君らの警察のいうことなんか信じられません。真実を知りたい。

と反撃していた。それだけならまだしも、なぜか日本にまで飛び火。


■日本に降りかかった火の粉

中国官制メディア・光明網は「好機と見て中韓漁船事件を過大報道する日本メディア=中国漁船の「暴力的威嚇」と誇大報道」などという記事を出している。尖閣沖中国漁船衝突事故の記憶もまだ新しい日本では、「中国漁船」は引きのあるニューストピック。新聞やテレビなど日本マスコミが大々的に報道したのがお気に召さなかったようだ。

ちなみに引用されているのは読売新聞と産経新聞。特に過激な文章の産経新聞を中心に引用しており、それでもって「日本メディア」の論調としているのがなんとも。


■野田首相訪中への影響は?

さて、今回の拿捕について、20日午後1時13分に環球網が速報を出している。内容は日本メディアの紹介で論評は避けたもの。とりあえず事実内容の報道は中国共産党の許可が下りたが、今後の論調については協議中という段階ではなかろうか。

中国側からしてみれば、海上警察官刺殺事件の直後、野田首相訪中の直前に中国漁船を拿捕するなんてケンカを売っているに違いないという解釈も有力だろう。ましてや尖閣沖中国漁船衝突事故以来、敏感なキーワードとなってしまった「漁船」の問題というのがまたややこしい。

野田首相訪中をひかえ、日本との関係をプラスにとらえる報道と、上述したように日本を叩く報道とが混在している状況であったが、今回の事件はどのような影響を与えるのか、注目するべき問題ではある。

【韓国海洋警察官刺殺事件】

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