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2011年12月22日
■季節性ストライキの到来
旧正月まで約1カ月となった中国。久々の家族団らんを楽しみにしている出稼ぎ農民もいれば、未払い給与が一向に精算される気配がないことに焦っている出稼ぎ農民もいる。規模が大きくなれば労働者たちはストライキで戦うため、旧正月前は労働争議が頻発する時期でもある。ある中国メディアは「今年も季節性ストライキの時期が到来した」と評している。
(関連記事:韓国資本工場が全従業員を解雇、抗議招く=「季節性ストライキ」と世界経済―中国)
数百人を動員できれば、ストライキでもデモでもやればいいのだが、そこまで人をかき集められない時はどうすればいいのか?そこで登場するのがネタ・パフォーマンスだ。その戦略については最後に述べるとして、まずは南都網が紹介している事例の一部を紹介しよう。
■ネタ・パフォーマンスの数々
2011年11月22日、広東省深圳市。パンツ一丁で街を練り歩く出稼ぎ農民。「悪い経営者」と書かれたお面もつけている。建設現場下請け企業の親方が従業員の給料、計21万元(約252万円)を支払ってくれないと訴えている。
2005年11月27日、重慶市。繁華街で全裸になって訴える50代の男性。病気の息子のために給料を持ち帰らないといけないのに、建設現場下請け企業の親方が給料を支払ってくれないという。
2011年8月9日、河南省鄭州市。メッセージボードを持った男たちが穴に埋められていくというパフォーマンス。
2011年9月11日、遼寧省瀋陽市。「妻のおっぱいをオークションにかけます」と書かれたチラシを持った男。
2010年12月24日、河南省鄭州市。サンタ・コスプレをする出稼ぎ農民。「サンタクロースが未払い給与を請求する理由を説明します」と書かれた札を持って繁華街を練り歩いた。
■ネタ・パフォーマンス戦略を考える
「給料もらえていないというのにのんきなものだな」と思われるかもしれないが、彼らは必死なのである。必死にネタに走ったのだ。
その理由はただ一つ。注目を集めるためだ。人々に自分の問題を知ってもらい、騒ぎになり、メディアに乗り、そして慈悲深いがともかく腰が重い政府が動き出せば、問題は解決するからだ。中国では最近、「囲観就是力量」(野次馬こそ力なり)という言葉がよく使われる。
野次馬に集まってもらい、注目を調達することさえできれば、後は慈悲深い政府が動いてくれるはず。あるいは注目が集まってしまえば政府もむやみに粗暴なふるまいはできないだろうという含意だ。
ストライキやデモを起こせば、比較的容易に注目を調達することができる。もし、それだけの人数が集められなければ、後はネタ・パフォーマンスで気を引くしかないではないか。その意味では南都網が取り上げている事例はいずれも成功した部類に属するだろう。少なくともメディアに掲載されるところまではこぎ着けたのだから。
*画像は南都網の報道。他衝撃の写真多数!
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