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中国ポータルサイトから約600万人の個人情報流出=被害は他サイトに飛び火

2011年12月22日

2011年12月21日、ソフトウェア開発者向けポータルサイト・CSDNのデータベースがハッキングされ、約600万件の個人情報が流出した。その後、人人網、猫撲網など人気ソーシャルサイトからの流出も確認され、騒ぎは拡大している。捜狐京華時報を主に参照した。


China - Internet Cafe (网吧)
China - Internet Cafe (网吧) / eviltomthai


■ポータルサイトの個人情報流出

CSDNは中国最大のソフトウェア開発者向けポータルサイト。ニュース、掲示板、コミュニケーショングループ、ブログ、オンラインドキュメント、電子書籍、ゲーム、ネット動画などの機能を持っている。中国本土のソフトウェア開発者のうち90%以上が同サイトのアカウントを持っているという。

「本日、ハッカーがCSDNのユーザーデータをネットで公開したことが確認されました。600万人以上のメールアドレスとパスワードが流出しています。」21日、セキュリテイソフト企業「360安全衛士」のマイクロブログ・アカウントはこう警告した。CSDNのデータベースがいつハッキングされたのかは不明だが、流出した個人情報がP2Pネットワークなどで公開されていることが確認されたという。

本来ならば、データが流出しても悪用されないようにパスワードなどのデータは暗号化しておくのだが、今回流出したデータは2009年に作られたバックアップ用データ。オリジナルとは異なり、暗号化していなかったのだという。


■他サイトの流出も確認

さらに22日になってCSDN以外のサイトの個人情報流出も確認された。同一犯かどうかは不明だ。流出サイトの全貌はいまだ確認できていないようだが、SNSの人人網、コミュニティサイト・猫撲網の一部データも流出しているという。ちなみに私は両サイトでアカウントを持っている……。

複数のサイトで同じパスワードを使っているユーザーは少なくないはず。やはり安全面を考えれば、それぞれのサイトで異なるパスワードを使うべきだろう。また中国サイトのアカウントを持っている日本人ユーザーも相当数いるはずだが、ご注意されたい。


■犯人の動機はマイクロブログ実名制か?

さて、今回の事件で気になるのは犯人の動機だ。ユーザーデータがネットで公開されたのは21日のようだが、ハッキングされた日時は2009年以後ということしかわからない。またこっそりデータを利用していれば騒ぎにならなかったのに、なぜP2Pネットワークにアップしたのだろうか。

あるいは最近話題となっている中国マイクロブログ実名制が動機になったのではないだろうか、と考えている。

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■韓国ネット実名制の教訓

12月20日付フィナンシャルタイムズ中国語版に「韓国ネット実名制の教訓」という興味深い記事が掲載されている。

韓国ではネットの誹謗中傷、デマ情報の氾濫が問題視され、2007年7月にネット実名制が導入された。1日あたりの訪問者数が30万人を超える大手サイト35サイトに対して、ユーザーの本当の名前、身分証番号を把握するよう義務づけたのだ。2009年4月からは訪問者数10万人以上と基準が下げられ、153サイトが対象となった。

では実名制によって何がもたらされたのか?平和なネチズン・ワールドがもたらされたのか?記事はこう答えている。実名制がもたらしたものは「ハッカーの横行」だった、と。

2011年7月、韓国で史上最大の個人情報流出事件が起きた。ポータルサイト「ネイト」とSNS「サイワールド」のアカウント情報約3500万人分が流出したのだ。韓国の総人口は4800万人。実に全人口の70%以上が被害にあった計算となる。

どこの国であれ、ハッカーは暗躍しているが、実名制の導入によって韓国IT企業が持っている会員情報はなんともおいしい獲物となった。実名、メールアドレス、身分証番号、誕生日、住所、パスワード、携帯電話番号などがすべてそろっているのだ。かくしてハッカーの皆さんは他国以上に必死になってハッキングに精を出した。


■ハッカーの警告

中国のマイクロブログ実名制でも、ユーザーの実名や身分証番号は各運営企業が保管することになっている。韓国と同じ状況になるわけだ。フィナンシャルタイムズ記事は韓国事情を紹介することで、マイクロブログ実名制の危険性を警告する内容となっている。

CSDNのデータを流出させたハッカーがこの記事を読んだかどうかは定かではないが、あるいは実名制の危険性を訴えるために、以前ハッキングしていた個人情報を流出させたのではないか。もし実名制が導入されていれば、被害はこんなものでは済まなかったという何よりの警告だと言える。


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