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中国人オタク「なぜウチの国では中国語吹き替え版を嫌う人間が多いの?」(百元)

2011年12月25日

■中国オタク的疑問「なぜウチの国では中国語吹き替え版を嫌う人間が多いのか?」■

*当記事は2011年12月18日付ブログ「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


天使の日曜日、スーパー額縁状態。縁内の字幕がなければズームできるのに。
天使の日曜日、スーパー額縁状態。縁内の字幕がなければズームできるのに。 / ykzts
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中国オタク的疑問「なぜウチの国では中国語吹き替え版を嫌う人間が多いのか?」中国オタクの間では「中国語吹き替え作品はダメ」といった風潮があったりします。

日本でも「吹き替え作品よりも字幕、できればオリジナル音声をそのまま理解できる方が良い」といった考えはあるかと思いますが、中国における感覚はその比ではありません。

オタク層だけでなく、下手すれば一般レベルでも「中国語吹き替え版になると作品の価値が損なわれる」という考えの人が少なくないそうです。

先日、中国のソッチ系の掲示板で「中国語吹き替え版はなぜ嫌われるのか?」ということについてのやり取りを見かけたので、今回はそれを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

なぜウチの国では中国語吹き替え版を嫌う人間が多いんだろう?よく考えてみれば不思議なことだと思う。


そういやオリジナル音声こそ最高って人が多いよな。翻訳通すと失われる表現ってあるから分からなくもないがウチの国ではマニア層だけでなく一般層でも「吹き替え=ダメ」という風潮が強すぎるのは確かだ。俺は吹き替えをそこまで否定する必要はないと思うんだが……。


ほとんどの中国語吹き替えの声って、引き付けられるものというか伝わるものがないんだよね。下手なのになるとどこの変声期のアヒルだというようなレベル。見てる方からすればスゴイ邪魔。


「スラムダンク」の吹き替え版は悪くなかったおぼえがあるが。


別に全部が全部悪いってわけではないと思うんだけどね。あくまで個人的な印象だが、「逮捕しちゃうぞ」の広東語版はオリジナル超えてると思う。


俺はTV版エヴァのヒドイ吹き替えを絶対に忘れることはできない!あと確かに広東語の吹き替えって中国国内の普通話(現代標準漢語)よりレベル高いこと多いように思う。


ちゃんとうまい吹き替えの作品もあるんだけど、ヒドイ作品も多いからね。吹き替え版でダメな吹き替えだと作品そのものが楽しめなくなるという危険があるんで、リスクを避けたくなる。


俺は中国語吹き替えの方が好きなんだが、いつも遊んでいる友達はみんなオリジナル音声の方が好きなんだよね。だからみんなでハリウッド映画見に行く時とかでも全部字幕版になっちゃうのが……。


別に日本のアニメの中にだってヘンな声があてられていたり、キャラと合わない声とかあるぞ。特に萌えアニメとか。日本語分からないとそういうのは気にならないだろうし、字幕追っかけて好きにイメージ投影できるからってのも影響してるだろ。


俺の場合は香港系のテレビアニメで育ったから、一部の作品は日本のオリジナル音声の方が違和感強いよ。


コメント弾幕貼れる動画サイトで、中国語吹き替え版のアニメに「中国語吹き替え?帰るわ」と大量の弾幕が流れるのはなんかさすがにアレな気分になる。


アニメどころか、ネットゲームでも中国語吹き替えだと「オリジナル音声の方が良い」とかいう声が多いからなぁ。


吹き替えのプロのレベルが違うから聴いていてキツイ。字幕とオリジナル音声で脳内再生してる方がいい。


私は「ドラえもん」は小さい頃から広東語版見て育っちゃったから、オリジナル版のあの特徴のある声は逆に違和感が……。


子供の頃に吹き替え版見ていた番組ってそういうのってあるよね。考えてみればウチの国では字幕付き海賊版で映画をみるのが昔から多かったから、中国語吹き替えへの拒否感は習慣の問題もあるんじゃないかな。

これは日本人の知り合いに聞いた話なんだけど、日本では成龍(ジャッキー・チェン)は石丸博也がずっと吹き替えていて、しかも成龍の映画はテレビだとほとんどが吹き替え版だったから日本では成龍はマジンガーZの兜甲児の声でしゃべるというイメージがあるらしい。


最近はゲームの中国語吹き替え版とかわりと良いのあると思うけどね。母国語だと細かいレベルの差が分かってしまうというのが大きいんじゃないだろうか。よほどうまい人でもない限り不自然さが強く意識されてしまう。外国語は後で習得したものだし、感情表現や細かいニュアンスとかも気になりにくいと思う。


子供の頃見ていた「トランスフォーマー」、「スラムダンク」、「セーラームーン」、「タッチ」なんかは中国語吹き替えでも普通に見れたんだけどな。なんか今の時代の方がレベル低くなってない?


個人的には「魔神英雄伝ワタル」の中国語吹き替えが至高。ヒミコの呪文とかまで軽々と表現していたし。中国語吹き替え版が嫌われるのは一時期クオリティの低い中国語吹き替えが多すぎたからじゃない?俺も中国語の吹き替えに対しては悪いイメージがあるから、選べるとしたら中国語吹き替え版は選ばなくなってる。


「クレヨンしんちゃん」や「ちびまる子ちゃん」はどのバージョンの吹き替えも結構うまかったな。しかしうまい吹き替えもあるけど、ヘンな吹き替えに当たるとそれだけで作品を楽しめなくなるリスクが……。


ウチの国は方言が多いから字幕放送が普及しているってのも影響しているかも。だから字幕で見るのに抵抗ないし、それだったら外国語のオリジナル音声の方が邪魔にならない。中国語だと耳に入ったらそっちに意識取られるし、それが微妙なレベルだったら、もう。


吹き替えのレベルが全体的に低すぎるんだよ。欧米系の映画とかならまだマシだが、それ以外だとヒドイのが多すぎる。


日本のようにプロの声優が多いわけでもないし、アメリカのように吹き替えキャストに金をかけられる番組がそうあるわけでもない。ウチの国で全体的に質が低くなってしまうのはある意味当然だが、そうなると当然嫌う人間も増える。


ウチの国は吹き替えメインで食っていくのは極めて難しいからな。吹き替え声優にプロフェッショナルな能力を求めるのはキツイだろ。

ウチの国だって一応ちゃんとしたプロや組織もあるぞ。ただ、そういう所でも一人で何役もやってるような時はクオリティ落ちることが多いという印象。結局は現場の資金不足なのかなぁ。


こういうのって先にどっちを聴いたかというのも大きいんじゃない?放映されるのが基本的に中国語吹き替え版しか存在しないとかだったらそういう問題も少なかったと思う。俺は林原めぐみの声は悪くないと思っているが、それでも「スレイヤーズ」は先に吹き替え版で見ちゃったからオリジナル音声になるとなんか感情移入できなくなる。


中国語だと細かい問題分かっちゃうしな。アニメの日本語なんかは最初から「そういうもの」だとして接しているから問題に感じない。実際、アニメの日本語と日常会話の日本語ってかなり違う。日本語の授業で勉強する日本語や日本語の先生の喋る日本語とかは、オタク系の日本語と違う所を結構感じるしね。


一時期、中国語吹き替えのレベルが底辺に達していたのは間違いない。今テレビでしょっちゅう流れている昔の作品を見れば明らか。昔の番組の再放送って実は中国語吹き替えのマイナスイメージを助長しているんじゃないか?ああいうの見てると、中国語吹き替えはゴミだと思うようになってしまうよ。


まぁ好きなように見ればいいと思うんだけどね。印象ってのは個人の差が大きいし。ただ、ときどき巻き起こる「オリジナル音声派」と「広東語吹き替えはオリジナル音声を超えた派」と「国内吹き替えも悪くない派」の不毛な争いは勘弁して欲しい。俺が語り合いたいのは作品の中身についてなんだよ……。

とまぁ、こんな感じで。質の悪い吹き替え作品にぶち当たった経験から、中国語吹き替えにネガティブなイメージを抱いている人が少なくないようでした。

ただ、うまい中国語吹き替えというのも結構あるとは思うんですよね。私も昔中国で生活していた時にテレビで見た「ちびまる子ちゃん」は、まる子の吹き替え音声が日本語でのノリや性質を非常にうまく再現しているのに驚いた覚えがありますし。

それから、上の発言にもありますが中国で字幕肯定派が多いのは「字幕に慣れているから」というのが関係しているようにも思えます。

最近は「普通話」が全国に普及してはいるものの、中国ではまだ方言が残っているので地方が異なれば言葉が通じなくなったりすることが珍しくありません。そういったこともあってかテレビ放映でも普通に字幕がつきますから、字幕に関する抵抗感は日本の感覚に比べるとかなり少ないようです。

それに加えて中国語は全部漢字ということで、一文字の情報密度が濃い言語ですから、字幕という形式にも向いているように思えます。こういったことも「字幕の方が良い」という人間が増えることに影響を及ぼしているのではないでしょうか。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*当記事は2011年12月18日付ブログ「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


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