中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年12月26日
Valençay - Cultures hydrating on the milk / grongar *image
■基準値の2.4倍のアフラトキシン
今年10月、中国国家品質監督検験検疫総局は各社の液体乳製品200種を対象にサンプル検査を実施した。タンパク質、鉛、無機ヒ素、黄色ブドウ球菌など18項目を調べたもの。このうち蒙牛の四川工場製品及び長富の福建省製品から基準値を超えた発がん性を持つカビ毒・アフラトキシンM1が検出された。蒙牛製品の含有量は1キロあたり1.2μg。国の基準値0.5μgの2.4倍という高濃度となった。長富製品の含有量は0.9μg。
25日、蒙牛は「全国の消費者の皆様に丁重にお詫び申し上げます」と題した謝罪文を公開した。また京華時報の取材によると、サンプル検査は出荷前の製品に対して実施されたものであり、当該ロットは出荷されていないという。そのためリコールなどの措置はない。
■メラミン混入粉ミルクの悪夢
カビ毒・アフラトキシンB1は強い発がん性を持つ。そのB1が生物の体内で代謝されて出来るのがM1だ。乳牛の飼料がB1に汚染されていたことが今回の基準値超過につながったと推測される。
(関連リンク:「市販国産牛乳の99.5%からアフラトキシンM1を検出!これは事実か?」FOOCOM.NET、2009年3月19日)
乳製品の安全問題といえば、2008年のメラミン混入粉ミルク問題が今なお記憶に残っている。畜産農家が生乳のタンパク質含有量を多く見せかけようとしてメラミンを投与。粉ミルクを飲んだ赤ちゃんの多くに腎結石などの健康被害が報告された。
以後、中国国内では自国産粉ミルクの信頼が急落し、市場シェアは50%を割り込んだ。外国産ばかりが売れる状況に目を付けた中国メーカーがエセ外国企業に扮して製品を販売したり、「日本産粉ミルクの空き缶、高値で買います」という、よからぬ目的が透けて見える広告がネットで出回ったりと、多くの波紋を呼んだ。
今なお中国産粉ミルクに疑いの目を向ける消費者は少なくない。今回のアフラトキシン基準値超過もまた、信頼回復に挑む中国乳製品メーカーにとっては打撃となりそうだ。
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