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これは恥ずかしい……避妊薬購入が実名制に?!勘違いが生み出した珍条例

2011年12月29日

2011年12月26日、福州日報は、福建省福州市政府が「緊急避妊薬購入実名制」を導入すると報じた。「避妊薬まで実名登録?!」とネットで話題となっている。


医保定点春药店
医保定点春药店 / ggarlic


■史上空前の実名制時代に避妊薬も参戦?!

ここ数年、実名制は中国のトレンドとなっている。ウェブサイト開設にはICP認証という実名登録が必要だし、先日は中国マイクロブログの実名制導入も決まった。鉄道切符も実名制だ。さらに北京五輪、上海万博での「包丁購入実名制」もあった。今や中国は史上空前の実名制時代を迎えようとしている。

この栄光の実名ロードに加わらんとする伏兵が登場した……と話題になったのが福州市の「緊急避妊薬購入実名制」だ。緊急避妊薬(事後ピル、アフターピルとも)はコンドームの破損など予期せぬ事態が起きた時に摂取する薬品。日本では正式販売はされていないが、一人っ子政策を推進する中国ではどの薬局でも購入できる薬品だ。

性に対して以前より開放的になったとはいえ、薬局の店員さんに「緊急避妊薬お一つですね。名前、住所、電話番号、身分証番号を書いてください」と言われるのはさすがに恥ずかしい。ネットには福州市政府への呪詛と、「このままだと嫁とエッチするにも実名で申請しなきゃいけない時代が来るやも……」といったコメントが書き込まれた。


■官僚の勘違いが生み出した珍条例

それにしてもなんで福州市政府はこんなすごい政策を思いついたのか、と気になるところだが、29日付南方都市報があっさりその謎を解いている。

先日国家計画生育委員会など関連省庁6部局は『「両非」集中取り締まり専門アクション実施プラン』を発表した。「両非」とは「医学的必要性がない胎児の性別鑑定」と「胎児の性別を確認した上での人工中絶」を意味する。なにせ中国はまだまだ男児が貴ばれるお国柄。女の子なら中絶したいと考える親も少なくない。

国は妊娠時期の性別鑑定及びその結果の告知を禁止しているが、こっそり教えてもらう親も少なくないという。お医者も工夫したもので、検査後に「よいお子さんですね」と言ったら男の子、「かわいいお子さんだ」と言ったら女の子という風に暗号めいた伝達をすることもある。

こうした産み分けをやめさせるのが目的だったのだが、福州市食品薬品監督管理局の官僚さんが「緊急避妊薬も規制しろって意味かしら?」と勘違いしたのが、避妊薬実名制という珍条例が生み出されるきっかけとなった。国の政策意図にも反しているわ、大変な騒ぎになったわということで、おそらく実名制は撤回されることになるのではないか。

なお、南方週末記事は最後に「権力が消費者になにをしろ、なにをするなと矯正するのはいかがなものか。避妊薬実名制は権力政策の随意性、任意性を満天下に示すものになった」と批判している。


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