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危険すぎる廃虚小学校=スマホの力で子どもたちを救え―中国

2011年12月30日

2011年12月、ネット掲示板に四川省農村の小学校の写真が公開された。それはまさに廃虚そのもの。天井には大穴が開き、倒れそうな壁を木の棒が支えている。このオンボロ以下の校舎で、今なお51人の子どもたちが授業を受けている。26日、四川新聞網が伝えた。


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*画像は四川新聞網の報道。

■ネット掲示板の告発

17日、四川省のローカルネット掲示板・麻辣社区に「さっき平昌県農村の小学校を見てきたけど信じられないありさまだった」という書き込みがあった。四川省巴中市平昌県佛仏楼鎮にある大松小学校の写真を掲載したものだが、驚くほどのオンボロぶりが話題となった。

20日、四川新聞網記者が現地を取材したところ、果たしてその超オンボロ小学校は実在した。1980年代の建築だが、2008年から壊れ始めたという。倒れそうな壁は木の棒で補強するなど応急措置をとっているが、天井は無残に崩れ落ち、雨が降れば室内はびしょびしょだという。すでに使用できなくなった教室も2部屋ある。

危険すぎる小学校だが、他に場所がないとのことで、今でも50人以上の小学生がここで授業を受けている。いつ教室が崩れるか気が気じゃない親から、「むやみに走り回ってはダメ」と言い含められている子どももいるという。なお、この建物には大松村衛生所、大松村村民委員会のオフィスもある。

■宇宙ステーションは作れてもオンボロ校舎は残っている

先月、中国では9人乗りの車に子どもたち64人を乗せた幼稚園送迎車の交通事故があり、話題となった。空母を持ち、宇宙ステーションを建設中の世界第2位の経済大国・中国で、なぜ子どもたちに使うお金がないのか、というのが人々の怒りどころだ。
(関連記事:定員オーバーの幼稚園バス、事故で20人死亡=車の改造、逆走も発覚

四川省の田舎ともなれば、この手のオンボロ校舎はいくらでもあるのだろうが、写真の持つ力、ネット掲示板の口コミ・パワーは驚くべきもの。大松小学校の問題に人々の関心は集まった。報道を受け、平昌県は校舎の建て替えを決定。すでに校舎の使用は中止されたという。


■「気軽に撮影」運動、ネット民と政府の協調

四川新聞網及び麻辣社区は、大松小学校だけではなく、他の小学校の問題も解決しようと新たな運動の呼びかけを始めた。「気軽に撮影、校舎安全活動」と名付けられたその活動は、危険な校舎を写真で撮影し、ネット掲示板にアップするという内容。旧正月休みに農村に帰省した人はぜひ地元の校舎を撮影してきて欲しいと呼びかけている。問題がある校舎が見つかれば、ネット掲示板とメディアの力で注目を集めて政府を動かし、改善を求めようという考えだ。

実はこの「ついでに撮影」運動には前例がある。2011年初頭、誘拐されて物ごいの手先となっている子どもたちを救おうと、「気軽に撮影、物ごいの子どもを助けよう」運動が盛り上がりを見せた。この運動は街角で見つけた物ごいの子どもたちを撮影、マイクロブログでつぶやくことで、我が子を捜す親御さんを助けたり、あるいは警察と協力しようという内容だ。
(関連記事:「つぶやき」の力で子どもたちを助けよう=年20万人の子どもが行方不明になる中国

以前ほどの盛り上がりはないとはいえ、いまだに活動は続いている上に、政府当局は「来年末までに浮浪者の子どもをゼロにする」と意気込むなど、浮浪児童問題の政策的優先順位を引き上げる役割を果たした。子どもたちのプライバシーの問題、物ごいという仕事を取り上げられた子どもたちがどうやって生きていくのかといった点は大問題だが、ネット民と政府の協調という意味できわめて興味深い事例ではある。

「ついでに撮影、校舎安全活動」もまたネット民とスマートフォンの力で、政府の活動を促すもの。どこまで広がりを持つのか、どれだけの実効性を持てるのか、注目したい。


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