■ブッダガヤ・カーラチャクラ灌頂始まる■
*当記事は2012年1月1日付ブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。
■20万人が集まったカーラチャクラ灌頂
ついにブッダガヤでのカーラチャクラ灌頂が始まった。参加者は20万人との予想。実際に集まった数についてはまだ正式な発表はないが、15万人以上は確実と思われる。
(カーラチャクラ灌頂はチベット仏教の秘儀。通常の灌頂とは異なり、多くの信者が同時に導師の力を授かることができるという。石濱裕美子氏のブログエントリー「タボ寺一千年祭とカーラチャクラ体験記」に詳しい)
あいにくというか、チベット的には吉祥の印である慈雨が朝から降っていた。雨はたいしたことはなく、会場にはテントも張ってある。もっとも場所によっては相当濡れた人もいたようだ。とにかく10万人以上の人が一同に会するという壮大な光景を見たのは初めてであった。ぎっしり詰まった人々、その果てを見ることができないという大集団だ。
ダライ・ラマ法王は朝8時に会場に到着された。その後すぐに会場に集う僧侶と俗人たちと共に、カーラチャクラの長い成就次第を始められた。
カーラチャクラと化される法王。
■ダライ・ラマ法王のメッセージ
午後からは、まずサンスクリット語及びチベット語による般若心経が唱えられた。
法王は「今日は西洋暦の新年に当たる。だから、皆さんにタシデレと言いたい」と挨拶された後、会場に「集まった人の中でチベット本土から来られた方はどれほどいるかな?手を上げてほしい」とその大体の人数を確認された。そして次のようにお話しされた。
チベット本土では心の狭い中国の指導者たちのせいで、仏教を勉強したり、行じたりすることが困難な状況にある。仏教とは何かを知る機会が少ないかもしれない。だから、本土から来た人はこの機会にしっかり心して耳を傾け私の説明をきいてほしい。
仏教はただ祈ることで幸せが来るというような教えではない。心を正しく統治することにより、心を変えることにより幸せを得ることを説く。ありのままの現実を知る事により、間違った認識を正すことが基本だ。ブッダ自身も『私はみんなに幸せへの道を示すだけだ。それぞれの人々の苦しみを手で除くことはできない。それぞれがその道を実践しない限り幸せはやって来ない。
「今日の教えの対象の中心はあなた方(本土チベットからの参加者)だ。だからちゃんと聞いて、帰ったら理解したことを周りの人たちにも伝えることができるようにしてほしい」とのメッセージだ。
その後、中国人に手を上げさせ、ブータンはじめヒマラヤ地区から来た人たちにも手を上げさせた。最後に西洋人に対し「Happy New Year!」と声を掛けられた。
大鍋にバターたっぷりのチベットティーが作られ、大勢の僧侶により大急ぎでみんなに配られた。もちろんパンも配られた。通路を僧侶たちが全速力で走り回る姿も見物であった。
法王はその後、灌頂を受ける心構えを説かれた。ブッダガヤで灌頂を受ければ、灌頂を7回受けたと同じ加持力が生まれるとも話された。
■五体投地するダライ・ラマ法王
話は前後するが、12月31日、法王はブッダガヤに到着されるとすぐに大塔を訪れられた。道のまわりには、このためにチベットから来た人たちが、一目法王に見えようとカタを手に必死の様相で押し合いへし合いしていた。法王の姿を見て涙を流す人を沢山見た。
大塔の前で五体投地される法王。
法王は大塔を訪問された後、記者会見を行われた。
仏教を生んだインドは、世界に対し平和と宗教間の調和を発揚するべきだと強調された。また、「私はシャカムニ・ブッダを思想家であると共に、古代の科学者であると思う。ブッダは『僧侶や知識人は、私の言葉を本物の金かどうかを見抜く人のように焼いたり、擦ったりせよ、そのまま信じてはいけない』とおっしゃった。これは科学者の考え方と同様だ」と語られた。
チベットの状況を聞かれ、「今、チベットは困難な状況の下にある。しかし、我々には真実がある。私は度々、我々の闘いは銃の力と真実の力の闘いであると言う。長期的に見れば、銃よりも真実の力が勝るのだ」と答えられた。
最後になったが、このブログを見て下さっている日本の方々にご挨拶を。明けましておめでとうございます!!!今年、皆様に沢山のいいことがありますように。そして今年もチベットのことを忘れず見守って下さることを心よりお願い致します。
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