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シネコン建設ラッシュの中国=映画館業界の黄金時代と衰退の兆し

2012年01月05日

中国映画界は空前の活況にわいている。興行収入は130億元(約1560億円)の目標を突破、スクリーン数は前年比50%増という信じられない拡大を続けている。一方でスクリーン当たりの興行収入は減少するなど陰りも見え始めている。


Transformers 101
Transformers 101 / Bytemarks


■シネコン大躍進!

中国国家ラジオ映画テレビ総局の蔡赴朝局長が昨年12月、中国全土のスクリーン数は9000スクリーンに達したことを明かした。2010年末の6256スクリーンからほぼ50%増という急成長を遂げたことになる。

2003年に中国映画体制改革が始まって以来、スクリーン数は年二桁%の成長を続けていたが、2010年には一気に1533スクリーンと急増。前年比30%という高成長を記録した。2011年には前年比50%増と成長はさらに加速している。

今、中国のあちらこちらに新たな商業施設が誕生しているが、シネコンが併設されていることが多い。また古い映画館もリニューアルしてスクリーン数を増やしているケースが少なくないようだ。中国の新鋭シネコンに行くと、その設備の充実ぶりには驚かされるばかり。音響も画質もハイレベルで、3D対応しているスクリーンも多い。


■興行収入は目標に達成したものの……

興行収入は130億元(約1560億円)という大台に達した。前年比30%増という伸び率だが、前年の64%という急成長と比べると見劣りする。なによりスクリーン数の増加率を下回り、1スクリーン当たりの興行収入は160万元(約1920万円)から140万元(約1680万円)へと減少に転じた。

10年近くも映画館の拡充が続いているわけだが、ついに飽和状態にさしかかりつつあることは明らかだ。中国ではクーポン販売サービス、いわゆるグルーポン系サイトでの映画チケット販売が普及しているが、割引販売の拡充も売り上げ減少の要因になっているもようだ。


■まだまだ続くスクリーン拡充競争

それでも大手映画館チェーンはさらなる拡大路線を邁進するという。南方電影新幹線有限公司が保有するスクリーン数は2010年末時点で500スクリーン。それが2011年末には620スクリーンとなった。2012年はこれを上回るペースで拡大するという。

大手不動産企業を親会社に持つ万達院銭は2004年に映画館業界に進出。2010年末時点で600スクリーンを保有する驚異的な成長を見せていた。2011年にはさらに200スクリーンを増設し、800スクリーンを保有している。2012年にはさらに300スクリーンを増設する方針だ。同社の王健林理事長によると、2007年当時の計画は「2010年末時点で400スクリーン」というものだったという。予定をはるかに上回るペースで成長を続けてきたことになる。


■日本と比較してみよう

一般社団法人日本映画製作者連盟のウェブサイトによると、日本のデータ(2010年)は以下のとおり。

スクリーン数:3412(前年比+16)
入場者数:1743万358人(前年比+506万1000人)
興行収入:2207億3700万円(前年比+147億200万円)
スクリーン当たり興行収入:6460万円

2010年のデータと古いのだが、中国のほうがスクリーン数が多いが、総興行収入では日本が上回っていることがわかる。

2 transformers
2 transformers / dizid


■ハリウッド大作に人気が集中

2011年の映画作品だが、興行収入トップとなったのは「トランスフォーマー3」。興行収入11億1200万円(約133億円)を記録した。他にも「カンフー・パンダ2」「パイレーツ・オブ・カリビアン4」「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」などハリウッド大作映画の続編が上位を占めた。

中国国産映画では、チャン・イーモウ監督の「ザ・フラワーズ・オブ・ウォー(金陵十三釵)」が年末公開にもかかわらずトップの座に立った。以下、「建党偉業」「龍門飛甲」と続く。国策プロパガンダ映画「建党偉業」は政府機関や学生の動員などの裏技を駆使し、興行収入8億元(約96億円)を目指すと豪語していたが、最終的にその半分強という水準にとどまったという。

今年の中国映画で注目すべきトレンドは低制作費映画のヒットだという。制作費わずか900万元(約1億800万円)の「失恋33天」が3億5000万元(約42億円)という大ヒットを記録した。「将愛」も2億2000万元(約26億4000万円)とヒットしている。

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・主な参照リンク
每天新增八块银幕」南方週末、2011年12月29日
2011电影票房达130亿 十三钗4.5亿居国产片首位」中国新聞網、2012年1月4日


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