中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年01月06日
Mouth Of Coal Mine In Mountain Ridge West Of Ta Chu, China MAR [1909] Thomas C. Chamberlin [RESTORED] / ralphrepo
■レアアースってなに?
2010年秋の尖閣諸島沖中国漁船衝突事故以来、にわかに日本のニュース頻出ワードとなった「レアアース」。
そもレアアース(希土類)とはなんなのか。素人のにわか勉強で説明すると(訂正請う)、科学的性質のよく似た17種類の希土類元素。超強力磁石の磁性体や超伝導材料などハイテク製品に多く使用されている。
1980年代から中国が「じゃがいもよりも安い」という激安価格で供給を始め、世界生産の97%を握るにいたった。ちなみに激安価格の秘密はたんに労働コストが安い、優良鉱床があるだけではなく、レアアースの副産物として掘り出される放射性物質を処理せず放置していたというエコダンピングの側面も大きいと見られている。
ここ数年、中国はレアアース価格の引き上げを狙い輸出割当量を設定したほか、さらにレアアース精錬企業の合併統合、生産量の引き締めと激安政策を転換させた。
■2011年の価格高騰と急落、2012年の輸出割当量
2011年前半、レアアース価格は爆騰。中国の政策が功を奏したかに見えた。しかし、7月をピークに価格は急落し、半値近くになったものもある。また厳しめに設定された輸出割当量を使い切らないという異例の事態も起きている。
上述したとおり、レアアースは複数の物質の総称である。ハイブリッドカー用強力モーターに使われるジスプロシウム、テルビウムなど一部のレアアースに関しては代替物が見つからないため値段をつり上げられれば飲むしかないが、他のレアアースに関しては値段が高くなれば、別の物を使うことになる。
また中国以外の国でレアアース鉱山を開発する動きが加速するなどの変化も生じている。2011年末に中国商務部は2012年の輸出割当量を発表したが、減少するとの予想とは異なりほぼ前年と同量になった。中国産レアアースはまだまだ高くなるとの予期を止めたいとの配慮ではないか。もっとも中国様のさじ加減一つで輸出がストップするかもしれないという危機感がある限り、海外鉱山の開発は止まらなさそうだが。
また、レアアースとひとくくりにするのではなく、軽希土類と中重希土類に分けて輸出割当量を設定している。基本的に中重希土類のほうが希少性が高いので、よりピンポイントで管理を強化する狙いが見え隠れする。
・関連リンク
オススメ「中国商務部、2012年のレアアースの輸出方針を発表」化学業界の話題、2011年12月28日
「レアアース巡り日中官民が協議会 安定供給求める 」日経、2011年1月6日
「中国、レアアース輸出規制厳格化 来年から「中重希土類」別枠管理」サンケイビズ、2011年12月30日
「中国:2012年レアアース輸出枠、ほぼ前年並みへ-販売低迷で 」ブルームバーグ、2011年12月28日
「レアアース対策続々 輸入価格高騰に対応」日経、2011年12月27日
■断たれた盗掘産業チェーン
さて、ここまでが日本語で読める各紙報道のまとめ。レアアースまとめ記事を書こうと、がさごそネタをあさっていたら、超弩級に気になる記事を見つけてしまった。それが「失われたレアアース産業チェーンを求めて」(経済観察報、2011年12月16日)だ。
中国のレアアース産業だが、次のような産業チェーンを構成していた。
・盗掘
↓
・精錬
↓
・販売