• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

「オラの畑が壊滅した…」農民の嘆き=ステマだらけの中国ネットと意外にピュアなネット民(金浪)

2012年01月07日

■河南省農民「オラの畑が完全に毟り取られてしまっただ……」■


ブログ「大陸浪人のススメ」 と「KINBRICKS NOW」のコラボ企画「金ブリ浪人のススメ」、略して『金浪』。一つのネタについて、迷路人(安田峰俊)さんとChinanewsが別々に解説してみようという企画です。

今回は「大根の卸値が下がって、さっぱり売れないや。畑まで採りにきたら、誰でも好きなだけもっていきやがれ」と侠気を見せた農民が大変なことになった話。

20111202_写真_大根_略奪2
*画像は財新網の報道。他写真多数。

【農民がダイコン畑をタダで開放したところ……】
1:名無し人民@オラこんな村いやだ 2011/11/29
*ちょっと意訳&省略しています。

河南省鄭州市で農業を営む韓紅剛さんは畑でダイコンを栽培したところ大豊作に。しかし豊作貧乏となり、業者からは二束三文でしか買ってもらえず、そんな安いものを収穫するのに人を雇うにもコストがかかる。そこで家族との相談のうえ、市民の皆さんにタダであげようと考えた。

韓さんは語る。
「福祉団体なんかでうちのダイコンが必要なら、優先的にあげようと思ってただ」

こう考えた韓さんが11月25日にネット上に情報を流したところ、26日の早朝から、ダイコン掘りにやってきた大群衆が韓さんの畑を埋め尽くすこととなる。群衆は包丁を持ってダイコンを切り取り、ダメなものはその場に放り出して、良いものだけ袋に詰めて持って帰った。

しかも韓さん一家が予想だにしなかったことに、(今回の件とはまったく無関係な)韓さんの畑のサツマイモまで
掘り出して持って行く者も出たのである。制止しようもないまま、韓さんのサツマイモは袋に詰めて持って行かれてしまった。

どうしようもない状況のなか、韓さんは群衆に対してなんとか手加減してくれるよう頼み倒すしかなかった。「おめえら、うちの息子を学校にやらなきゃいかんのだべ!ちょっとは残しておいてほしいべよ!」と。
 
11月26日。韓さんの畑の前には、ダイコン掘りに来た人の自動車や三輪自転車が数キロにわたり長蛇の列をなした。
(以下略)

※中国広播の記者による韓さんへの取材によれば、述べ5000人以上の群衆が野菜を奪いにきて、
ダイコン(総額5万元=約62万円相当)とサツマイモのほか、ホウレンソウも大部分盗まれたとのこと)


3:名無し人民@オラこんな村いやだ
さすがにこれはないだろ。


4:名無し人民@オラこんな村いやだ
ため息しか出ない……。


5:名無し人民@オラこんな村いやだ
ニュースでもやってた。
絶句。


6:名無し人民@オラこんな村いやだ(四川省♂)
なんで傷付くのはいつも俺たち農民なんだ。


7:名無し人民@オラこんな村いやだ
農民かわいそうすぎる。



8:名無し人民@オラこんな村いやだ
事前にちゃんと人を集めて準備して、
ダイコン掘りに来た人たちにちゃんと注意事項を徹底すればよかったのに。


10:名無し人民@オラこんな村いやだ
なぜ農民だけが傷付かなくてはならないのか。


13:名無し人民@オラこんな村いやだ
どうしてこうなった。

<↓以下、さらに新浪微博の反応も紹介>

【農民がダイコンをタダであげると発表したところ群衆が殺到】
(11月29日19:41)への反応より

@棺材上的星空:(11月29日19:43)
善良なお百姓さんなのに、うちの国の人間の民度って……。
ああ、かわいそうすぎる。


@楚楚子:(11月29日19:45)
ああ……。
いまの世の中、こんなに良い人って少ないのになあ……。


@hiLuobo:(11月29日20:02)
ちょ、ドン引きしたんだけど……。


@個体戸CEO:(11月29日20:08)
中国人にはこういうひどい人たちも多い。
わけがわからん。


@Dadda6:(11月29日20:16)
善良な人間として善良な行いをすることは難しい。
だって、ここ(=中国)において「良き人」でいることは代償が大きすぎるんだ!


@華-風影:人啊!怎?能??的?巴不得菜有??,拉死他?。(11月29日23:09)
なんてこったい!
どうしてこうなるんだよ!?

野菜の残留農薬で、ダイコン掘りに来た連中はみんなくたばっちまえ!


■大根アニキのその後

この話については、「KINBRICKS NOW」でも取り上げている。

【写真】「無料で大根プレゼント」に3万人殺到、売り物まで略奪―中国
炎上で儲ける中国版フリーミアム「炒作」=大根アニキの逆転劇―中国

簡単にこの後を説明すると、かわいそうな韓さんの境遇に同情が集まり、ボランティアやら地元メディア、地元政府が支援。鄭州市でバザーが開かれ、畑から直送のサツマイモが直売りされることとなった。

「大根が略奪されたかわいそうな農民」のニュースは広く知られていた上に、メディアと政府のバックアップもあって、イモはバカ売れしたという。さらにお金持ちから大口の注文を入ったりして、それなりに売れたようだ。

大根をタダで略奪されることで、売れ残っていたサツマイモを売る。見事な炎上マーケティングだといううがった見方もある。


■意外とピュアなネット民

韓さんが最初からすべてを計画していたと決めつける気はないが、中国ではこうした炎上マーケティング、ステマ(ステルスマーケティング)が星の数ほど存在する。それだけにうがった見方をしてしまうのも仕方がないところ……。

と思っていたのだが、迷路人さんが紹介しているこの素直な反応はどうしたことだろう。みな一様に韓さんの不幸に同情し、義憤の怒りを燃やしている。これがステマか、ステマじゃないかなどといううがった話は出てきていない。炎上マーケティング、ステマ、釣りが乱舞する中国のネット世界やメディア。翻訳者、ニュースサイト運営者である私=Chinanewsは毎日毎日、そうした「ネタ」を読み続けているのでだいぶ心がすれてしまっているようだ。

そんな釣りネタ世界に住んでいる中国ネット民たちも心がすれているはず……と勝手に決めつけていたが、いや、一般ピープルはそんなにニュースを読んでいない。私ほどすれてない、まだピュアなハートを持っているのだと改めて気づかされた。


■中国人は超人じゃなかった!Chinanews、初めての中国

これで思い出したのが私が初めて中国を旅行した時のことだ。日本のテレビニュースが伝える中国。それは中国のバス停大混雑、自転車の大群の通勤、列車の中で立ちっぱなしで30時間とか当たり前という中国超人伝説の世界だった。

私はてっきり中国人たちはみな無限の体力を持っているのだろうと決めつけていたのだが、実際に言ってみてびっくり。満員のバスの中で気持ち悪くなる人もいるし、自転車に乗ってへとへとになる人もいるし、立ちっぱの列車で病気になる人もいるという現実だった。

「中国人は超人じゃなかった」というのが初めての中国旅行で得た最大の衝撃だった。今回もまた同じことが言えるのかもしれない。炎上マーケティング、ステマ、釣りが横行する中国のネット、メディア。だからといってネット民全員がそれに慣れているわけではない。すれているわけではない。

釣られる人がいるからこそ、釣りを商売とする人たちが成り立つのだ……、と改めて当たり前のことを気づかされた。

・関連記事
釣り記事?それとも本当?「美しすぎる物ごい」「ロリ乞食」に中国ネット民騒然
【釣り記事確定】10年後に時速1000キロの「真空リニア」実用化?!中国オモシロ科学ニュース
深圳警察が「組織的に」愛人を囲う=釣りニュースから読み解く中国社会

*ネット掲示板引用部分は「大陸浪人のススメ」管理人・迷路人が担当。解説部分はChinanewsが担当しました。迷路人版解説は「大陸浪人のススメ」でお読みください。


トップページへ

 コメント一覧 (1)

    • 1.  
    • 2012年01月07日 21:50
    • 「中国人は超人じゃなかった」
      な、なんだってーーΩΩΩ

      でも今回の件はステマにしてはリスク取りすぎだと思います

コメント欄を開く

ページのトップへ