■高僧が壮絶な焼身抗議 その場で死亡■
*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」を許可を得て転載したものです。

■転生ラマの焼身抗議と市民の怒り
2012年1月8日早朝6時頃、アムド、ゴロ・チベット族自治州(青海省果洛州)ダルラック県 ダルラック郷の警察署の近くで、ドゥンキャップ僧院のトゥルク(転生ラマ)・ソナム・ワンギェル(略称ソバ)師、42歳が焼身抗議し、その場で死亡した。
彼は僧衣に灯油を浴びただけでなく、多量の灯油を飲んでいた。炎が上がった後、しばらくして大きな爆発音が聞こえたかと思うと、身体がバラバラになったという。警官が駆けつけ、遺体のうち、頭部と胸部などを拾って持ち帰った。その他の部分は川に捨てたという情報もある。また、市民が遺体の一部を持ち去ったとも伝えられている。
数百人もの現地市民が遺体を取り返そうと警察署に押し掛けたが、警察側は応じなかった。集まったチベット人たちは怒りをあらわにし、警察署の窓やドアを破壊する騒ぎとなった。警察側は渋々遺体をチベット人たちに引き渡したが、市民らは遺体を担ぎ抗議のスローガンを叫びながら街中を行進した。

■焼身抗議はチベットの自由と幸福のため
焼身抗議を行う前、8日未明にトゥルク・ソナム・ワンギェル師は近くの丘で焼香と祈りを捧げた。その後、街中の至る所にチラシを張り出した。そして、警察署の近くの三叉路で「チベットに自由を!」「ダライ・ラマ法王に長寿を!」「ダライ・ラマ法王の帰還を!」などのスローガンを叫びながら、ルンタ(祈祷旗)とチラシをまいた。
それから僧衣にたっぷり灯油をふりかけ、灯油を飲み、そして自らの体に火を着けた。目撃者の話によれば、大きな炎に包まれながらも爆発音が聞こえ倒れるまで「チベットに自由を!法王の長寿を!」と叫び続けていたという。
トゥルク・ソナム・ワンギェル師がまいたチラシにはこう書かれている。
自分が焼身するのはチベットの自由と幸福のため、2009年以降焼身抗議を行った人々をしのび、敬意を示すためである。決して自分のためではない。特にダライ・ラマ法王の長寿を願うための供養であるから、チベットの同胞たちは将来への希望を決して失っては行けない。チベットに喜びの太陽が昇る日が必ずやって来る。
別のチラシでは
チベット人は中国風の料理を食べるべきではない。中国製品も買うべきでない。チベット人同士の経済を潤すことを考えるべきだ。地域や宗派の違いを問わず、チベット人は全て同胞として団結すべきだ
とも書かれていたという。
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トゥルク・ソナム・ワンギェル師の人となり
トゥルク・ソナム・ワンギェル師はこの地域で一番の尊敬を集める高僧であり、養老院や孤児院も経営していた。
今、ブッダガヤで行われているカーラチャクラ法要に参加しようと、警察に渡航許可を求めていた。警察側は以前にもインドに数回行っていること、思想的にも問題があるとして許可を与えなかった。同氏はこれに不満を示し、「焼身抗議する」と話していたとも伝えられる。
現地チベット人たちは今週、彼の葬儀を大々的に行おうとしている。これを警戒して、多くの軍、武装警官が送り込まれているという。現地の電話は不通となった。
トゥルク・ソナム・ワンギェル師の焼身抗議により、内地チベット人の焼身抗議者は計16人となった。焼身抗議した僧侶の中でも、トゥルク・ソナム・ワンギェル師は最高位となる。
・参考記事
8日付RFA チベット語版(1)
8日付RFAチベット語版(2)