• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

熱狂が失われた台湾総統選=メディアの大騒ぎと市民の冷淡さ(FMN現地レポート)

2012年01月11日

2012年1月14日、台湾では総統選挙が実施される。現地を取材した中国ニュースサイト・自曲新聞のレポートをご紹介する。


■FMNとは?

自曲新聞(FREE MORE NEWS)は、 TwitterFACEBOOKを活用してニュース・キュレーションサービスを提供している中国関係の体制外メディア。独自レポート、独自リポートも発表するほか、海外メディアの取材コーディネートなども手がけている。

現在は中国語と英語でサービスを提供しているが、今回、新たな試みとして台湾総統選の取材レポートを「KINBRICKS NOW」で発表することとなった。


■熱狂が失われた台湾総統選

冬、台北に雨を見に来て

今回の総統選は予想外につまらない。太陽が見えず、暗くじめじめしている印象だ。通りには馬英九や同日投票の立法院選挙候補者のポスターが貼りだされているが、それ以外に選挙の雰囲気はまったく感じられない。馬英九の選挙事務所を訪ねたが、街以上にさびれていた。事務所を覆う馬英九と呉敦義(副総統候補)の大型ポスターだけが目についた。なぜこんな寂しい状況になったのだろうか。

台湾市民の話を聞くうちに、これまでの選挙で人々をとらえてきた選挙の熱狂が次第に失われ、落ち着きを示すようになったのだと気がついた。政権交代や議員の改選を重ねるうちに、実は誰が当選しようがたいして変わりはないと、台湾市民は意識するようになったのだ。特に今年の総統候補、馬英九と蔡英文の間にはそんな大きな差はない。それに選挙の大勢も数カ月前に決している。与野党の間で揺れ動く中間層という概念も次第に失われつつある。

この寂しさは有権者の意識だけの問題ではない。選挙活動のにぎわいも薄れている。宣伝パーティー以外の普通の選挙活動もそんなに人目を集めなくなってしまった。市民にとって選挙に対する魅力はもう失われてしまったようだ。選挙は普通の生活の一部になったのだろう。だから、この冬は選挙を見に来るのではなく、その代わりに雨を見に来て欲しい。

■5回目の総統選

台湾で初めて直接選挙による総統選が実施されたのは1996年。李登輝が総統に選出された。以来、陳水扁、馬英九と政権が変わり、今回が5回目の総統選となる。

「中国本土との関係」「経済問題」などを焦点に毎回、熱狂的な大選挙戦が繰り広げられてきた。今回も台湾メディアを眺めていると熱い戦いが展開されているように思えるが、世論は意外と落ち着いているとの論評も見られる。

■台湾総統選、有権者は対中問題に無関心 馬総統に逆風か
、2012年1月10日


台湾人の関心は「中国」から「経済」へ

台湾政治は歴史的に、隣り合う大国・中国と緊密な関係を促進したい国民党と、独立を志向する民進党との間で争われ、対中国政策が決定的な争点となってきた。だが、台湾人の大多数が中国との関係はある程度避けられないと考えている現在、今週末の総統選で「対中国政策」が民意を左右することはないとみられる。

FMN取材班もまたそうした空気を伝えてくれたが、果たしてこの冷淡な空気が最後まで続くのだろうか。明日以降も投票日までFMNレポートは連日掲載予定なので、楽しみにしていただきたい。

関連記事:
日本と全然違う台湾TPP事情=与野党ともに大歓迎する背景とは?
【台湾総統選】大怪獣と戦う萌えキャラ・蔡英文=子ブタさん貯金箱で募金集め―台湾
台湾民進党の蔡英文主席がかわいすぎる件=日本ラーメン店を体験して大喜び―台湾

コメント欄を開く

ページのトップへ