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4年間で貿易額50%増目指す、中韓FTA交渉開始へ=李明博大統領が訪中―中韓関係

2012年01月11日

2012年1月11日、韓国の李明博大統領は中国訪問を終え、帰国の途についた。北朝鮮問題、中韓FTA、中国漁民違法操業問題の3点が注目を集めた。


人民大会堂/Great Hall of the People/人民大會堂
人民大会堂/Great Hall of the People/人民大會堂 / kanegen

■2度目の「国事訪問」

李明博大統領の訪問は9日から11日の3日間。 ちなみに最上級の格式となる「国事訪問」という扱いになる。2007年12月の就任以来、李明博大統領の訪中は6回目となるが、「国事訪問」は2008年5月以来2回目。前回が就任のあいさつならば、今回は退任のあいさつ及び中韓国交成立20周年のお祝いといったところだろうか。

1月9日に人民大会堂で胡錦濤国家主席と、10日に釣魚台賓館で温家宝首相と会見している。11日には共同報道発表文が公表されたが、お決まりの文言が並ぶなかから要点を探すならば、 北朝鮮問題、中韓FTA、中国漁民違法操業問題の3点となるだろうか。


■外相ホットライン創設

北朝鮮問題絡みでは「朝鮮半島の平和と安定の維持と東北アジア地区の長期的平和が関係国の共同の利益に合致することを確認した」「協力して条件を一刻も早く条件を整え、6カ国協議の再開を目指す」といった、いつもどおりの文言が並ぶ。

ちょっと興味深いのは外相ホットライン、外交部局ハイレベル戦略対話などによって密接な関係を構築するという一文。金正日死去後になかなか中国から情報が得られなかったことについての反省から組み込まれたと評しているメディアもあった。

もっとも、この手の「ホットラインを設置する」ネタはよく見るのだが、そのホットラインが役にたったという話はとんと聞かないのだが……。


■中国漁民違法操業問題

中国漁民違法操業問題は以下の通り。

両国は、両国間海域境界線の策定が両国関係の長期的・安定的反転及び海洋協力の推進に重要な意義を持つと考え、海域境界線の交渉を継続することに同意する。

両国は、両国漁業部局が現行の協力体制を強化し、交流と協力を強化し、漁業分野関連の問題を妥当に処理することに同意する。共同で漁業秩序を維持し、漁業資源の持続可能な開発を保証する。

両国は、外交・漁業などの関連部局が参与した対話交渉を積極的に摸索し、両国海洋領域の協力を促進する。

尖閣沖中国漁船衝突事件後も「関係部局の交渉制度」云々という話が採用されていたと記憶しているが、意味はあったのだろうか。結局のところ不法操業が治まるか、韓国側が取り締まりをあきらめるかのどちらかしかないように思うのだが。

実務レベルでの細かいやりとりで進展があったとも報じられていないし、中国漁民と韓国海上警察の暴力事件が起きれば、またまた大問題となるだけとも思われる。


■経済関係強化とFTA

上記2点は実質的な進展があったのかなかったのか、よくわからない話だが、経済関係強化に関しては具体的な数字が取り上げられている。2015年時点の貿易額3000億ドル(約23兆1000億円)というのがそれだ。2011年の貿易額は2000億ドル(約15兆4000億円)程度だったので、4年間で50%増という野心的な目標となる。

また韓国国内の手続きが終了し次第、中韓FTAの交渉を開始することでも約束している。そればかりか、日中韓投資協定の早期調印、日中韓FTA推進に共同で努力することにまで触れられている。

2015年までに3000億ドルという目標は、それまでにFTAが発効しているとの読みなのかどうかが気になるところ。というのも中韓FTAは相当難航するのではないかというのが大方の予想であり、ちょっと時間的には間に合わなそうなイメージがある。

米韓FTAでも韓国政界、世論はおおもめになったわけだが、中国の安い工業製品、農作物が流入してくれるとなれば、これは大事だ。一方で米国よりも強固な関税障壁、貿易障壁を築く中国との実効的なFTAが締結できれば、韓国輸出産業にとっては大きな追い風となることは間違いない。

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