• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

旧正月の帰省切符争奪戦=中国鉄道部のボッタクリ型電話予約システムに批判(水彩画)

2012年01月14日

■電話予約に謎の情報料■

*本記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。 


■暦よりも早い工場の実質的旧正月休み

旧正月(2011年は1月23日)を目前にして、早くも旧正月休みに突入し、生産を停止している工場もあります。中国に生産拠点を置く企業は3月一杯まで生産能力が回復しない工場もありますし、旧正月セールで売れまくる商品との板挟みで、しんどい時期です。

また、実家に帰宅する当事者たる人民は、我々とは別の意味で深刻な事情があり、決められた工場の休暇よりも早く帰りたがります。その理由は帰省の交通手段を確保するため。

23日が旧正月なのですが、早いところなら15日から休みに入ります。それ以前から1人、2人と工員が帰省し欠けていくのですが、休みよりも早く帰省するのは、切符が取りやすく比較的安価なため。早い場合だと1月10日には消えています。

一方、事務員などのホワイトワーカーは連絡員として最後まで事務所に残されます。帰省ラッシュに巻き込まれることは避けられません。というわけで、「切符が取れない、取れても高い」という問題が重くのしかかります。


■中国鉄道部とそば屋

鉄道部は旧正月が近づくと、毎年のように「今年は大丈夫」とのセリフを繰り返します。「今、出たところです」と言い訳するそば屋のようなセリフでして、結局のところ毎年のように何やらかんやらと言い訳をするというのが様式美です。

今年からはネット予約が始まったのですが、サーバーが脆弱すぎるのか、それとも根本的に席が足りてないのか、評判は芳しくないようです。新華社はボランティアでチケット購入を代行している大学生のコメントを掲載しています。「先進的な予約方法は周知が不徹底なため、老人や学のない出稼ぎ農民、障害者には分からない」というもの。結局、問題は解消されぬままです。


■電話予約はダイアルQ2式

ネットだけではなく、電話予約もできます。しかし、これがとんでもないシステムなのです。

鉄道部チケット電話購入に1分9角の費用発生」(新華網、2012年1月11日)

山東省濰坊市の旅行者が電話予約をしたところ、通常の市内通話料金しか発生しないと説明されていたにもかかわらず、実際には毎分9角(約10.8円)の「鉄道情報料」が徴収されていたことがわかりました。ちょっと手間取れば、10元(約120円)程度はかかるでしょう。結構な負担となります。

パソコンも携帯も持ってないからネット予約は出来ない。電話予約も金がかかる。それなら徹夜で並んだほうが確実に取れるし、懐も痛めない。というわけで、結局は駅の窓口に並ぶという昔ながらの手法に頼ることに。

この件を調べた記者は駅や鉄道当局に連絡しましたが、明確な回答はなかったそうです。鉄道情報料徴収が済南鉄道局だけの話なのか、それとも全国的なものなのか。徴収された金はどこへいくのかなどの疑問は残されたまま。

こうした雑収入は中国であれば大なり小なり存在するのですが、この時期に徴収するとはなかなか鉄道部の面の皮は厚くていいですね。


■済南鉄道局が是正策を発表 

報道を受け、鉄道局は「今後は市内通話料のみで予約可能とすること、過去に徴収した情報料は返還すること」を発表しました。すでに7人に対し、110元(約1320円)を返還したことも公表しています。やはり1人当たり10元以上かかっています。

ちなみに告発記事は新華社の報道。大手国有メディアを使った鉄道部叩きの一環ではないかとも勘ぐってしまいます。

関連記事:
サーバーダウンにニセ身分証問題!中国高速鉄道のネット切符販売はトラブル続出

コメント欄を開く

ページのトップへ