■中国本土にニコニコ動画とその楽しみ方が入っていく転機となった出来事■
*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年1月1日付記事を許可を得て転載したものです。

Cosplay - AWA14 / mikemol
■中国人オタクがニコニコ動画を知るきっかけ
新年あけましておめでとうございます。今年もどうにか更新を頑張っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。今回は「中国本土にニコニコ動画とその楽しみ方が入っていく転機となった出来事」についてを例によってイイカゲンに紹介させていただこうかと思います。
今回の件についてはありがたいことにイロイロな方から当時の事について教えていただきましたが、その情報をまとめているのが私なので、イイカゲンな所やヘンな方向にいってしまっている所もあるかと思います。もし間違っているところなどございましたら、どうかツッコミや情報提供などをお願いいたします。
中国オタクは「最新の情報や作品」について知るためにネットを活用しており、現在の中国オタクの活動はネット無しでは成立しないといった状態になっていますが、そういった状況の中、日本のオタク情報にいち早く接触したり交流したりできる「ニコニコ動画」はオタク情報の集積地、発信地、交流の場としての存在感がどんどん強くなっています。
■組曲「ニコニコ動画」と台湾
ニコニコ動画の大きな特徴の一つとして「動画の体験の共有や交流」というのがあるかと思いますが、そのことが中国本土のオタクの間でも強く意識されるようになったきっかけとして大きいのは2007年の「組曲『ニコニコ動画』とそれに関して行われた日本のユーザーと台湾のユーザーの間で行われた交流」だと思われます。
台湾のオタクはある意味日本のオタクよりも先鋭化している所がありますが、この一連の交流でも大活躍し、日本と台湾のオタク的な交流というのが日本でも意識されるようになったかと思います。そして当時、同じ中国語圏である大陸の方のオタク達の間でもこの出来事によりニコニコ動画におけるネタを交えた日本との交流というのが意識されるようになっていったそうです。
それ以前にも、中国本土のオタクの間ではニコニコ動画が日本のオタクネタの発信地や集積地として注目されてはいましたが、この件により「日本のオタクネタの最前線をリアルタイムで知り、交流できる」という新たなスタイルが見えたというのは大きかったそうです。
ただこの段階では日本のユーザーにとって、台湾のユーザーはともかく、中国本土の方のユーザーについてはあまり意識されていなかったようですし、中国本土のユーザー達もまだ手探り状態だったそうです。
一応この時点でも既に中国本土でニコニコ動画を楽しむ層が広がりニコニコ動画のネタもかなり入っていたそうで、当時中国本土のオタク達は「レッツゴー陰陽師」「 エアーマンが倒せない」「 思い出は億千万」 といったニコニコ経由で人気となった曲をカラオケで歌って盛り上がったりしていましたし、この当時パンダ氏による「紡唄」などの特定ユーザーのアップした動画により盛り上がるという動きがありました。
しかし、中国本土の不特定多数のユーザーの参加による盛り上がりや交流という動きはまだあまり見られなかったとか。
■ ヘタリア抗議騒動で盛り上がりが加速
その後は「ボーカロイド」や「東方シリーズ」、「ヘタリア」などの人気コンテンツや「歌ってみた」などが伝わったり、acfunのようなニコニコ動画スタイルな中国語インターフェースの動画共有サイトが盛り上がったりするなど、じわじわと人気や交流が広がっていくことになったのですが、この動きを一気に加速させたのが「韓国のヘタリア抗議騒動」だそうです。
この事件は「ヘタリア」に対して韓国が抗議を行ったことから始まりましたが、当時中国のヘタリアファンは韓国の政治やらイデオロギーを持ち込んだ「野暮なやり方」に激怒し(各国のファンの中で最も激しく怒っていたそうです)その活発な勢いによって日本のファンとの交流も行われ、結果として日本と中国本土双方の結びつきが出ることになったのだとか。
そして結果としてこの騒動のさなかで「ニコニコでの日中との交流が可能」ということを日中双方が実感することになり、また中国のヘタリアファンにはニコニコ動画のヘビーユーザーが多かったことや、ヘタリアが中国オタクの女性向けジャンルでは史上最大の規模だったということもあって、ニコニコ動画の楽しみ方の中国における広まりも加速していったそうです。
■その後の展開
現在中国ではニコニコ動画が規制されているので直接ニコニコ動画を見ることはできないのですが、Acfunやbilibili動画といったニコニコ動画のスタイルを入れた動画共有サイトが盛り上がっていますし、VPNや規制回避ツールなどを活用して頑張ってニコニコ動画を見ているユーザーも結構いるそうです。
さらに最近は中国の同人イベントでニコニコで人気となっている「総統閣下はお怒りのようです」のネタ動画が上映されたり、北京語言大学のカラオケ大会で千本桜の歌とパフォーマンスが大ウケしたりするなど、中国オタクの活動でもニコニコ関係のネタがどんどん増えているように思えますし、今後の動きがイロイロと気になってしまいますね。