■多維網による次期政治局常務委員予想■
*本記事はブログ「The Useless Journal of CHINA」の2012年1月20日付記事を許可を得て転載したものです。
中国政局に詳しい北米華字ニュースサイト・多維網が、年明けすぐの2012年1月11日に「次期中国共産党中央政治局常務委員9人の予想その2」を公開してくれています。早速その1と比較してみましょう。
(その1はこちら)
序列 職務・担当 その1予測 その2予測
序列第1位 国家主席他 習近平(59) ⇒習近平(59)
序列第2位 全人代常務委員長 俞正声(67) ⇒俞正声(67)
序列第3位 国務院総理 李克強(57) ⇒李克強(57)
序列第4位 政治協商会議主席 張高麗(66) ⇒張徳江(66)
序列第5位 国家副主席 李源潮(62) ⇒李源潮(62)
序列第6位 国務院副総理 王岐山(64) ⇒王岐山(64)
序列第7位 中央規律委書記 張徳江(66) ⇒薄煕来(63)
序列第8位 宣伝思想担当 劉雲山(67) ⇒劉雲山(67)
序列第9位 政法委員会書記 汪洋 (57) ⇒孟建柱(65)
以下は、多維網による変更ポイントの解説。
■張徳江
昇格の理由は、(1)江沢民と関係が深い (2)地方経験が豊富で胡錦濤の眼鏡にも適っている、(3)既に中央政治局委員を2期務めているため、より高い序列に上がる可能性。少なくとも王岐山よりも上位に。(4)12月に公表された、温州の高速鉄道事故の報告書でも、担当国務委員である張徳江の責任は全く指摘されなかった、ゆえに本件での失点はないと考えられる。
もし十八大で常務委員に昇格しなければ、彼は即引退となる。しかし江沢民が十八大人事の総顧問的な立場である以上、そのような状況は発生しがたい。
■ 張高麗
張高麗が治める天津には、2011年に9名の常務委員全員が視察に訪れている。しかし、これだけで昇格が当然視されることはないだろう。なぜなら天津は北京のすぐそばで、北載河での休暇でも足を延ばすことができる場所だからだ。また、李瑞環が居なくなって以降、天津の存在感はあまりなく、張高麗の実績も高いとはいえない。常務委員昇格の根拠とするにはまだ不十分な状態だと思われる。
■
薄煕来
・前回は長老に睨まれているとして見送られた薄煕来については、最近の論調や領導の発言で、重慶執政の功績がほぼ固まったと見られている。特に今年の1月9日に、人民日報がトップページで乗せた報道では、薄煕来の「共同富裕」の考えが、胡錦濤の提唱する科学的発展観と符合していることを指摘した。
ポイントはその胡錦濤、そして温家宝と李克強の3人の常務委員が、未だ重慶を視察していない点だ。十八大前に胡錦濤の視察があるかどうか、または他の2名の視察があるかどうかが、彼の昇格を左右するポイントではないだろうか。とはいえ総合的に考えて、重慶での成果は否定できない以上、彼の常務委員昇格は大いにあり得る。
■汪洋
汪洋は胡錦濤が最も愛する部下だが、この一年広東では多くの騒動が発生した。特に反腐敗運動により引き起こされた一連のデモは、汪洋のイメージを多いに傷つけた。薄煕来の重慶でどれだけのデモが起きているかを比較しても、その違いは歴然としている。
ましてや、汪洋は年齢的にはあと3回、常務委員昇格のチャンスがある。ここは再度鍛錬の場と考え、汪洋を常務委員のリストからは外すことにする。
■孟建柱
孟建柱は上海から江西にいき、中央で国務委員兼公安部長になった。孟建柱の人となりは正直で、親しみやすく、実直な印象を与えている。中央政法委員の中で、周永康と王楽泉の二人が彼の上位にいるが、王楽泉が年齢の問題で退任が濃厚であり、そうなると孟建柱が昇格することがもっともいい人事といえる。
昨年11月の終わり、四川省のアバ・ガルダン寺を視察に訪れた。自らが中央のトップの悩みの種に関与することで、これにより社会問題における管理能力も証明した。もちろん、これが初めてではなく、上海の高層マンション火災や、2009年新疆ウイグル自治区で発生した毒針事件の時にも、彼は現地の領導が手をこまねいている間に現地へ赴き、問題処理の指揮を執っている。
以上のような実績から、(2階級特進はありだが、2回連続で特進することはありえないという)従来の慣例を覆し大出世を果たして、政法委員書記のダークホースとなる可能性は非常に高い。
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多維はなぜ2階級特進出来るかは説明してくれてないのですが。