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2012年01月21日
Anti-aircraft cannon / ZeroOne
■「豆腐の角切り」を作っていて全滅した高射砲部隊
先日、成都軍区の高射砲部隊は対空襲演習を実施した。 部隊は2時間かけて陣地予定地に到着。ただちに高射砲の配置を始めた。そこで問題となったのがカバー。なんとも悠長なことにきっちりきっちりたたみ始めた。
人民解放軍の厳しい訓練の中でも、「布団のたたみ方」は基礎中の基礎だ。きっちりきっちり四角く折りたたむ。俗に「豆腐の角切り」と呼ばれるゆえんだ。その布団のたたみ方を高射砲カバーにも応用してしまった兵士たち、気合いを入れて「豆腐の角切り」を作ることに成功した。
カバーをたたみ終えた時にやってきたのが「敵機襲来」の警報。大慌てで高射砲の発射準備を整えたが時すでに遅し。準備が整った時には敵機は真上にまで到着しており、「部隊は全滅」という演習判定を下されてしまった。
演習後の検討会では、当然のことながら「豆腐の角切り」が課題となった。たっぷり2分間は無駄に使っていたという。「きっちりたたんだほうがきれいだし、撤収の時も楽だし……」というのが部隊の言い訳。実戦同様の姿勢で臨まなければいけない演習でも、いつもどおりの紀律正しさを発揮してしまったという。
高射砲部隊トップである政治委員は「戦時にカバーを「豆腐の角切り」にする必要はあるだろうか?」とごもっともな訓話。というわけで、部隊は「最も短時間でカバーを折りたたむ方法」を研究・開発したという。
■解放軍報がオモシロニュース配信、その理由とは?
この笑えるニュースに目を付けた中国メディア、中国ネット民が記事を転載し、「豆腐の角切りを作っていて全滅した高射砲部隊」は一躍、ネットの話題となった。
気になるのは中国人民解放軍機関紙たる解放軍報が何を考えてこのオモシロニュースを報じたのかということだろう。「最も短時間でカバーを折りたたむ方法」開発秘話を胸を張って自慢したつもりが笑いものになったのか。あるいは底意地の悪い解放軍報記者が笑いものになるのを予想しつつも、このオモシロニュースを配信したのか。
ともあれ、中国ネット民に格好のジョークのタネを提供することには成功したようだ。
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