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アスリート対象の「豚肉禁止令」発令=ドーピング薬物に汚染された中国産豚肉

2012年01月22日

中国でおいしい豚肉を食べただけでドーピング検査にひっかかる可能性がある。これがウソのような本当の話なのだ。ロンドン五輪を控えた今、中国国家体育総局はアスリートに「豚肉禁止令」を申し渡していたことが明らかとなった。


苗寨的猪
苗寨的猪 / teresachin2007

■代表選手の嘆き


 2012年1月20日、ボート競技中国代表の黄文儀選手はマイクロブログに次のように書き込んだ。

今日、国家体育総局が通知があったよ。アスリートは豚肉食べるのは禁止だって。(訓練施設の)外では牛肉、羊肉もダメだとか。食べられるのは鶏肉と魚だけだ。幹部はショックを受けていた。以前は北京から空輸された「安全肉」が食べられたのに。今じゃ自国のアスリートに提供する豚肉からも「痩肉精」が検出されるのか。こんな社会に安全感ってある?
黄文儀(つぶやきはすでに削除)

という内容。 


■痩肉精とはなにか?

なぜアスリートは肉を食べてはダメかというと、中国の養豚場では赤身を増やすために「痩肉精」 という薬品を使用しているケースがあるためだ。

「痩肉精」とは塩酸クレンブテロールなどの薬品を指す。気管支拡張剤として開発されたが(だからドーピング禁止薬物にも指定されている)、ブタに投与すると赤身肉の比率が増すことが明らかとなった。ただし人間が過剰摂取すると、中毒を引き起こす。

1990年代に欧州でそうした問題が確認されているが、1990年代後半からは中国での使用が広がった。中国政府は使用禁止を命じ、豚肉の検査も実施しているが、いまだに撲滅とはほど遠い状況だ。近年では2010年には北京五輪金メダリストの佟文選手から塩酸クレンブテロールが検出された(上訴して処分撤回)。さらに中国に遠征に来ていたドイツ人卓球選手ドミトリ・オフチャロフ選手(中国で豚肉を食べただけと主張して処分回避)、北京五輪男子重量挙げ69キロ級金メダリスト・廖輝(痩肉精を食べただけと主張も出場禁止4年)といった例がある。


■国家体育総局の禁令は本当だった!

黄選手のつぶやきの中でも、特に興味深いのは「安全肉」の話ではないだろうか。中国では共産党幹部向けに「特別提供品」と呼ばれる安全安心な食料が生産されていると噂されているが、この「安全肉」はまさに噂を裏付けるものとなった。

さて、1月22日付信息時報は、このつぶやきに関する裏付け取材を行っている。先日、国家体育総局は会議を開き、五輪準備期間中の食品安全問題を取り上げた。「痩肉精」も議題に上がっているが、黄選手の理解はやや誤解だとのこと。

訓練施設内での食事では豚肉を食べてもOK。ただしアスリートに提供される肉は国家ドーピング検査センターでチェックしたものになる。結局、外出時には豚肉、牛肉、羊肉を食べてはいけないとのことだが。万が一を防ぐための措置なのかもしれないが、やっぱり市場にはドーピング肉が出回っているんじゃないのとの疑いを強化するような裏付け報道となった。

それにしても卓球の愛ちゃんをはじめ、中国でトレーニングを積む日本人選手はちゃんと対策しているのだろうか?

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