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海外逃亡の準備は万端!汚職ざんまいの「裸の官僚」を取り締まる新規定―中国(水彩画)

2012年01月24日

■裸官を取り締まる気なし■

*本記事はブログ「
中国という隣人」の2012年1月20日付記事を許可を得て転載したものです。


China AIrlines A330(Sweet) take off from Fukuoka airport RWY 16
China AIrlines A330(Sweet) take off from Fukuoka airport RWY 16 / woinary

■「裸の官僚」とは?

「裸体官僚」「裸官」という言葉があります。文字通り、「裸の王様」ならぬ「裸の官僚」という意味で、配偶者や子女、そして財産を海外に移している官僚を意味します。いつでも海外逃亡できるようにという汚職官僚の準備と言えそうです。2009年、深圳市紀委書記が「裸体官員」という言葉を使用して規制を打ち出したことが語源となっているようです。

さて、その深圳市に続き、今回は広東省が同様の規定を打ち出しました。19日発表の「中共広東省委による市・県指導者グループ建設の若干の問題に関する決定」によると、「裸官」が市・県レベルの党と政府の正職、すなわち市委書記、市長、県委書記、県長に就任することを禁止しています。
(「配偶者・子女が海外に居住している者は、原則的に党政の正職に任命しない―広東省」(金羊網、2012年1月20日)


■「裸の官僚」118万人が海外逃亡?!

1995年から2005年の10年間で、118万名あまりの裸官が逃亡したとのデータがありますが(林喆・中央党校教授)、真面目に働いていれば妻子を海外に送り込めるようなカネは出てくるものではありません。妻子が海外にいるというのはそれだけで汚職しているようなものなのです。

薄熙来・重慶市委書記は、息子の薄瓜瓜をイギリスのオックスフォード大に留学させているのですが、ウォールストリートジャーナルによると、これまでに60万ドルほどつぎ込まれている模様。
(関連記事:【中国斜め読み】薄煕来の正統派ドラ息子、彼女の浮気疑い貞操帯(ujc)
 
政治局委員の収入だけで、息子を4年も海外に送り込むのは金銭的に大変です。ということは……。誰も追求していませんが、そういうことなのです。彼より格下で収入も少ないはずの裸官が妻子もろとも移民させているのです。そういうことなのです。


■「裸の官僚」、その実例

海外逃亡をはかった「裸官」、元中国銀行広東省開平支店長の許国俊の例をご紹介します。許は他2人の共謀者と「裸官」計画を推進。共謀者一味3人の妻子全員を米国に帰化させた後、自身は偽造した身分証で香港入りし、その偽造香港籍のパスポートで米国ビザを申請。そして米国で偽装結婚するという手順を踏んでいます。

逃亡後、勤め先の開平支店では、5億ドル(約384億円)弱の損金が確認されています。結局、許は逮捕され、中国に送還されましたが、まんまと逃げ切った裸官も少なくありません。


■「裸の官僚」は死なない

広東省の「決定」はこうした状況を取り締まるためのものですが、2009年の深圳市の規定も実効性はなかったので、どれだけ効果をあげられるのやら。

そもそもちょっとした官職につけば、驚くほど不正蓄財出来てしまうというのが病巣です。そこにメスをいれないのですから、本末転倒でしょう。結局、見せしめで数人がやり玉に挙げられるぐらいで、後はなあなあになるのが目に見えています。

厳しい制度だと公言されていますが、妻子が海外にいる時点で一発アウトにはなりません。また、「原則上」は問答無用の一発死ではない(張輝・広東省組織部副部長)とも明言されており、文字通り緩々のザル制度となっています。

発覚と同時に最低でも紀律検査委員会の審査と、全職務解任、党籍剥奪のフルコースをお見舞いしなければ汚職は減らないでしょう。

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