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【渤海海底油田漏出事故】米企業が漁民に120億円を賠償=中国企業は賠償せず

2012年01月25日

2012年1月25日、中国農業部は渤海海底油田漏出事故による漁業被害賠償案がまとまったと発表した。河北省、遼寧省の漁民に対して米コノコ・フィリップスは10億元(約120億円)の賠償金を支払うこととなった。財経網が伝えた。


Norge, kjempers fødeland II
Norge, kjempers fødeland II / tjodolv



■海底油田漏出とその後の経緯

2011年6月、渤海の海底油田・蓬莱19-3で漏出事故が発生した。中国当局は事故直後に状況を把握していたが公表せず、ネットやメディアで騒ぎになった後になってようやく記者会見を開いた。漏出は2つの地点で起きた。一つはCプラットフォームのボーリング作業中の事故によるもの。もう一つはBプラットフォーム付近でのものだ。原油採掘のため地下に注水したところ、その圧力で原油が海底から漏出した。
(関連記事:ようやく報告された石油漏出問題=840平方キロメートルの海域が“最低”水質に―中国

蓬莱19-3は中国海洋石油が51%、米コノコ・フィリップスが49%の権益を所有している。となれば、責任の51%は中国海洋石油にあるように思うのだが、中国当局及び中国メディアは米企業のみをバッシング。中国海洋石油はだんまりという外資イジメ的構図となった。

コノコ・フィリップスは速やかな漏出せき止めと原油の回収を約束したが、Bプラットフォーム付近の漏出を止めることは難しく、昨年末の時点でも「まだ漏出が続いている可能性」などと取りざたされていた。


■漁民の被害に賠償

原油流出の影響で沿岸漁民は大きな影響を受けたという。養殖ホタテ貝が大量死したというニュースがあったほか、最終的に養殖貝の漁獲量が例年の10分の1強にまで落ち込んだとの報告もある。また渤海での漁獲量も減少したと報じられている。
(関連記事:養殖ホタテ貝の大量死、海底油田漏出事故が原因か―河北省

漁民側からは訴訟するとの声もあがっていたが、結局は政府主導での手打ちとなった。米企業を訴えての裁判ともなれば、世論の注目が高まりすぎてコントロールできない可能性もあるほか、早期の採掘再開も難しくなるという判断ではないか。中国海洋石油は2012年年内の再開を示唆している(鳳凰網)。

さて賠償内容だが、河北省、遼寧省の漁民に対して10億元(約120億円)を支払うというもの。どう分配されるかは報じられていない。賠償金はコノコ・フィリップスだけが支払うことになる。

それ以外に海洋環境・生態保護基金に対し、コノコ・フィリップスが1億元(約12億円)、中国海洋石油が2億5000万元(約30億円)を寄付する内容も盛り込まれた。同基金は漁業資源の回復と維持、漁業資源環境調査や研究費に使われるとのこと。どさくさにまぎれて中国農業部が金庫をゲットしたという感じだろうか。

なお同基金は昨年末に設立されたばかり(中国新聞社)。中国海洋石油が5億元(約60億円)を出資するとアナウンスされていたが、今回の合意がそれとは別の支払いになるかについては説明されていない。

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