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2012年01月25日
Silk market / .waldec
■解体業者の周到すぎる悪巧み
22日夜、深圳市のあるホテルは、解体業者の鄭によって貸し切られた。本来ならば家族で一緒に過ごす日だが、このホテルに集まったのは500人の荒くれ者。飲んで食って勢いをつけた男たちは日付が変わった頃、バスに乗ってホテルを後にした。
向かったのは深圳市のショッピングモール・布吉市場。鄭は深圳邦兆房地産開発有限公司から依頼され、このモールの解体を請け負っていた。とはいえ入居している店主たちは徹底抗戦の構え。ちょっとやそっとでは解決しそうにない。そこで鄭は誰もが油断するであろう、大みそかを狙って計画を練っていた。この日のために重機9台と無職の荒くれ者500人をそろえたのだ。
バスの中で男たちは用意されていた警備員制服に着替え、ヘルメットや刃物、棍棒などの装備を着用。偽装を済ませた。現地に到着すると、荒くれ者たちはモール付近の道路を封鎖した。そして重機がモールへと突入。解体作業が始まった。 周りは花火や爆竹がどんぱちどんぱち鳴っている。少々物音を立てたところで気づくものはいない……。
という算段だったが、店主たちもそこまで油断していたわけではなかったようだ。連絡を受け、店主たち200人が終結。荒くれ者500人と激高する店主たち200人のにらみ合いという大変な事態となった。かわいそうなのが大みそかなのに出勤していた警官たち。通報を受けると、最寄りの警察に詰めていた100人が緊急出動。それでも現場を押さえきれず、最終的には対テロ用装甲車まで駆り出す騒ぎとなった。
結局、階段の一部が壊されたものの、モール全体が壊されるには至らなかった。なお事件の翌日、鄭は逮捕されている。店主側も1人が鎖骨を折る重傷となったという。
■自分たちのビルのつもりでいたら……ショッピングモールひどい話
この大みそかの騒ぎもひどい話だが、そもそもの立ち退き話もなかなかのもの。
布吉市場は1990年に完成したもの。最近の中国では結構多い小さな店舗が集まったショッピングモールだ。もともとは商店街にあった店を移転させたものと見られる。移転にあたって店主たちは数千元から1万5000元程度の費用を支払っていた。なので店主たちは「個人事業主の集団が権利を保有する物件」と考えていたようだ。
ところが実際の扱いは「国有財産」だったとのこと。1998年に龍広公司にモールの権利は売却され、2003年には龍広公司は深圳邦兆房地産開発有限公司と共同でモールを取りつぶしての再開発を計画していた。しかし政府の都市開発計画との調整が折り合わず、一時中止という中ぶらりんの状態となっていた。
2011年、深圳邦兆房地産開発有限公司はモール取りつぶしを宣言、入居店舗の立ち退きを要求した。店主たちは必死の抵抗。そこで解体業者の鄭に依頼した……という経緯だ。
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