■セルタ、ダンゴ、ンガバの状況■
*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の 2012年1月25日付記事を許可を得て転載したものです。
Songye Temple, ShanNan, Tibet / Fighting Irish 1977
■抗議デモと発砲事件、情報封鎖続く
抗議デモと当局による発砲が報じられているカンゼ(四川省甘孜チベット族自治州)のタンゴ県、セルタ県。中国当局による情報封鎖及び交通封鎖のため、なかなか新しい情報が入ってこない。現地と連絡が取れたインドなど海外在住の現地出身者による報告をメディアが伝えるようにはなったが、情報は混乱している。
死者数を見ても、タンゴでは1から6人、セルタでは2から5人と食い違いがある。ただ両地ともに銃撃され負傷した人は多数いるのは間違いないようだ。十分な治療も受けられず、危険な状態にあるという。
以下、各メディアの情報が整理して、タンゴ、セルタ、ンガバ(四川省アバ・チベット族チャン族自治州)の状況をまとめてみよう。
■セルタ
2012年1月23日の旧正月前に、街には「チベットの自由」と「法王の帰還」を訴え、「焼身抗議を予告」し「遺体が中国側に奪われないよう訴える」チラシが多数撒かれたという。これに反応し、22日と23日に小規模の抗議デモが行われた。両日のデモは鎮圧されることはなかった。
24日、午前10時過ぎに始まった抗議デモには、前2回を上回る数百人の参加者を集めた。12時頃までデモが続くと、参加者は数千人にまで膨れ上がっていたという。その後、500人以上の保安部隊が鎮圧のために投入された。デモ参加者を逮捕しようと暴力を振るう武装警官と軍人、武器をもたぬチベット人たちの間に衝突が起き、当局は参加者に向かって無差別発砲したという。
ある情報によれば、発砲は2度あったという。最初の発砲で2人が、次の発砲で3人が死亡したと伝えられる。亡命政府も5人死亡と発表。死者のうち、名前が判明しているのは2人。セルワ村出身のダワ・ダクパ(33)とポポと呼ばれる30代の男性だけである。40人が逮捕されたもようだ。
銃撃による負傷者は数十人に達するとも伝えられている。銃弾の摘出治療が受けられず、危険な状態にある負傷者もいるという。病院が治療を拒否しているとも伝えられている。発砲事件後、街には戒厳令がしかれ、店舗はすべて閉店している。街を出歩く者は銃殺するとの脅しもあるという。
参照記事:
24日付TibetExpressチベット語版、
24日付RFAチベット語版、
24日付RFA英語版、
25日付TibetTimesチベット語版。その他VOTチベット語放送。RFAチベット語放送など。
■タンゴ
23日、タンゴで起きた抗議デモと発砲事件。そのきっかけも「焼身抗議を予告」するチラシだった。チラシをまいたと疑われた人々が多数拘束されたことがきっかけになったと思われる。数百人規模の抗議デモが発生したが、当局が発砲し死者がでたことにより、参加者は5000人以上にまで膨れあがったと見られる。
発砲により、2から6人が死亡したと伝えられる。このうち名前等が判明しているは2人だけ。ノルワ村のユンテン(49)、そして「ロキャの息子」と伝えられている人物だ。
ノルワの遺体はタンゴ僧院に運び込まれ、25日に葬儀が行われる。ロキャの息子の遺体は他の僧院に運び込まれたという。その他負傷者のほとんどはタンゴ僧院に運び込まれている。うち36人の名前は亡命政府などを通じて発表されている。
負傷者のうち、体内に銃弾が残っているなどの重傷者が3から12人いるとも伝えられている。頭部に銃弾が残ったままという深刻な負傷者がいるとの報告もある。タンゴ僧院には病院があるため負傷者が運び込まれたと見られるが、実は医者自身が銃撃され重体だという。緊急治療が行われているとは到底考えられない。
参照記事:
23日付
RFA英語版、24日付
TibetNetチベット語版など。
■ンガバ
23日、ナムツォ僧院とメウルメ郷のチベット人、100人程が真言を唱えながら通りを行進していた。保安部隊がこれをさえぎると、真言は「チベットに自由を!ダライ・ラマ法王に長寿を!」の叫びへと変わり、衝突へと発展した。多くのチベット人が拘束された。また、この後メウルメ郷には大量の部隊が送り込まれ、住民約100人が行方不明となったと伝えられている。
キルティ僧院で2週間にわたる法要が予定されていたが、僧院に向かっていた多くのチベット人参加者も途中で止められたという。暴行や拘束などが報告されている。23日には、キルティ僧院を右遶(僧院周囲を時計回りに回る礼法)する灯明行進が2度、行われたともいう。
ダラムサラ・キルティ僧院の報告によれば、青海省西寧市のメンヤン刑務所で服役していたキルティ僧院の僧侶ロブサン・ケドゥップが22日、健康を理由に解放された。刑務所で受けた拷問により下半身が麻痺し、ほとんど話も出来ないほど衰弱していたという。
参照記事:
ンガバの情報はすべてダラムサラ・キルティ僧院に入った現地報告。要約して紹介した。報告を転載している記事としては、24日付
TibetTimesチベット語版がある。
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