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発砲事件の波紋、抗議活動相次ぐ=2008年以来最悪の状況となったチベット情勢(tonbani)

2012年01月28日

■ザムタン、タウ、ペマ、ラギャ、ラサ...各地で次々事件が起こる■

*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の 2012年1月27日付記事を許可を得て転載したものです。


20120127_写真_チベット_発砲事件
*カンゼ僧院のろうそく集会。

■チベット情勢は2008年以来最も緊迫した局面を迎えた

今週、チベットは東部を中心に2008年以来もっとも緊張した状況を迎えた。

2008年以来、僧院を中心としたチベット人に対する弾圧はさらに強化された。一方で、ンガバ(四川省アバ・チベット族チャン族自治州)のキルティ僧院の僧侶たちが先例を示し、最終的非暴力抵抗手段である焼身抗議という勇敢な行為が広がった。その死の重みが今の緊張の背景にある。

焼身抗議者の死に報いよう、無駄にしてはならないという強い思いが地域の人々の心に広がった。1月23日、中国の旧正月であると同時に、この地域のチベット人の正月でもあったこの日、これまで焼身抗議者が出たンガバ、ゴロ(青海省ゴロ・チベット族自治州)、カンゼ(四川省カンゼ・チベット族自治州)で、「チベットの自由、ダライ・ラマ法王帰還」を求め、旧正月を強要する当局に反発するチラシが張り出された。さらに新たな焼身抗議を予告するチラシもばらまかれ、同時に各地で中国政府の弾圧統治に対する抗議デモが起こった。

チラシと抗議デモだけで、これほど大きな衝突が起きることはなかったはずだ。平和的デモに対して当局が無差別発砲し死者が出たことが、事態を急速に悪化させたといえる。中国当局は挑発し、事件が起きればさらに火に油を注ぐような対応しかできない。カンパ(四川省南部に住むチベット人)は発砲などで怖じ気づくような人たちではないことも関係している。

今日も新たに各地から事件の報告が入っている。あまりに多いのでそれぞれを簡単にお知らせするしかない。ダンゴ(四川省カンゼ・チベット族自治州ダンゴ県)、セルタ(四川省カンゼ・チベット族自治州セルタ県)は情報封鎖のため、いまだに続報が入らない。続報としては、26日付RFAチベット語版が、セルタの発砲事件でのチベット人死者数を6人、負傷者数を60人以上と報じている。


■ザムタン(壤塘)
 
27日朝に速報としてお伝えした、26日のンガバのザムタン県バルマ郷での衝突。現時点では続報はない。ただ発砲により死亡したチベット人の氏名が判明した。27日付TibetTimesによれば、死者の名はウゲン、バルマ郷シュダ村プタル家の息子で、20歳だという。彼はこの衝突の原因となったチラシを撒いたタルパの同級生であった。現在、彼の遺体が家族の下にあるかどうかは不明という。

ここまで書いた時点で、VOT放送が続報を伝えた。当局が発砲したのはタルパが逮捕された後、近隣のチベット人が郷の警察署に押し掛け、タルバの解放を要求した時のことだったという。また発砲による死者は2人だったと報じられた。ウゲン以外の死者の名は報じられていない。

ダラムサラ・キルティ僧院によれば、ザムタンでは23日にもズメ・ナダ郷でチベット人約1000人がキャンドル・ライト・ビジル(ろうそく集会)を行い、焼身抗議した勇者たちの名前が読み上げられたという。

 
■タウ(道孚)
 
27日付TibetExpressによると、23日のダンゴにおける抗議デモと発砲事件を受け、中国当局は四川省成都市から多くの増援部隊を現地に送り込んだという。タウは成都とダンゴの中間に位置する。ダンゴに向かう完全武装の車隊を妨害しようと、タウのチベット人たちは40台の車、大きな石、大きな木で道路を塞いだ。

増援部隊は犯人を探そうとタウの街に乗り込んだが、チベット人は投石して抵抗したという。警察車両や警察署にも投石したと伝えられている。この影響を受け、タウ近郊のミニャックでも緊張した状況になったというが、詳細は報じられていない。


■ペマ(班瑪)
 
ゴロのペマ県では転生ラマのソバ・リンポチェが焼身抗議による死を遂げた後、毎日のように抗議デモが起き、逮捕者が続出している。
(関連記事:【続報】転生ラマの壮絶な焼身抗議=燃えさかる炎と真っ黒の遺体(tonbani)

27日付TibetTimesなどの報道によると、26日にはバンル・ユルツォの住民が抗議行進を行った。掲揚されていた中国国旗を引きずり降ろして燃やし、代わりに仏教の旗とダライ・ラマ法王の写真を掲げたという。その後すぐに16台の車に分乗した保安部隊が到着。抗議者に暴力を振るい、多数を逮捕したという。逮捕者の名前については分かっていない。

また24日、ペマ市街地で抗議活動を行ったチベット人6人のうち、逮捕された者は拷問を受けたという。その一人、ツェテンというチベット人は重体と伝えられている。26日、ペマ市街地で僧侶1人が焼身抗議を試みたが、全身にガソリンを浴びて通りに出た時点で発見され、火を放つ前に逮捕された。

 
■ラギャ(拉加)

ゴロのラギャ僧院ではガンデン・ガムチュ(灯明祭)に際して、僧院屋上に大きなチベット国旗と法王の写真が掲げられた。これを契機に僧院には大勢の保安部隊が常住し、「愛国再教育」が強化されていた。27日付TibetTimesによれば、25日に僧院と街で「チベットの自由と法王帰還」を訴えるチラシがばらまかれた。この事件を受け、「犯人を引き渡さない限り、僧院を完全に閉鎖する」と当局は僧院を脅しているという。


■ラサ(拉薩)
ラサ(チベット自治区ラサ市)ではダンゴでの衝突後、警備が強化された。チベット人はいたる所で身体検査を受けなければならないという。特に僧衣を着た僧侶はひどい嫌がらせを受けていると伝えられている。

27日付TibetTimesによると、こうした厳戒態勢の中でも抗議活動が起きている。25日午後5時頃、パルコルでゴロ出身の僧侶ナムカ・ギェルツェンが「チベットに自由を、ダライ・ラマ法王の帰還を」などと書かれたチラシをばらまいた。すぐに警官に逮捕されたという。

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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の 2012年1月27日付記事を許可を得て転載したものです。     
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