2012年1月26日、ツイッター社は、要請があった場合、特定の国で問題となったツイートを非表示とする技術を
発表した。「表現の自由のとらえ方が異なる国にも参入していく」(
ロイター)と述べており、現在、ツイッターへのアクセスが検閲されている中国への参入が実現するのか、注目されている。

Internet Bar / faungg
特定の国のみ非公開可能に、米ツイッターが新システム
短文投稿サイトの米ツイッターは26日、当局から投稿の削除要請があった場合、その国でのみ非公開にするシステムを導入したと公式ブログで発表した。
今までは、当局の要請に対し、同社のグローバルネットワークから削除する必要があったが、今回の発表によると、特定の国でのみ非公開にすることが可能になり、それ以外の国では閲覧できる仕組みに変わったという。
ツイッターは今回の措置を行った理由について、「われわれの考え方と大きくかけ離れている国もあり、われわれがそこで存在することは不可能だろう。国際的に成長し続けるため、表現の自由のとらえ方が異なる国にも参入していく」などと説明。投稿が非公開になった際、そのユーザーに通知するシステムも導入したとしている。
■中国ツイ民の不安と反発中国では海外ウェブサービスの多くが検閲対象となっている。ツイッターはフェースブックと並び、その代表格だ。一部中国ネット民は検閲回避技術を使い、ツイッターにアクセス。中国政府の検閲のないツイッター空間を利用している。
ドイチェ・ヴェレによると、その数は10万人を超えるという。
「ツイッターの自由」を享受してきた中国ツイ民は、ツイッター社の発表に反発。現代芸術家、人権活動家、そして著名ツイ民として知られる艾未未はいち早く「もし検閲が導入されれば、ツイッターをやめる」と明言した。
■ツイッター社の狙いはどこに?
検閲に阻まれツイッターが進出できない間に、中国では国産マイクロブログ(微博)が一気に勢力を伸ばしてきた。ユーザー数はすでに3億人に達しているという。検閲を受け入れてでもツイッターが中国進出を果たすというのはありそうな話だ。
もっとも発表を見る限り、本当に中国への進出を狙っているのかは疑わしい。「表現の自由のとらえ方が異なる国にも参入していく」と中国などツイッター禁止国進出への色気とも読める箇所があるが、今回発表の新技術は「法的要請のあったつぶやきを、その国のユーザーに対してのみ非表示にする。つぶやいたユーザーには検閲の事実が通知されるほか、検閲要請についてはまとめて公開する」という内容。
これではとても中国政府が求める検閲技術には達さないだろう。中国マイクロブログ各社は当局の求めたNGワードを採用しているほか、自社で独自の検閲要員を雇用。怒られないように必死に自主検閲を続けている。
ツイッター社の狙いは、ある国で非公開にするよう法的に命じられたつぶやきを、その国でだけ非公開にするが他国での公開を続けられるようにする仕組みづくりにあるのではないか。ツイッター社の発表でも、ドイツでナチス礼賛が禁じられていることを事例にあげている。
中国当局が求める検閲基準は果てしなく高いもの。ツイッターにせよ、フェースブックにせよ、巨大市場への進出は悲願だろうが、他国と同じシステムでの参入は実質的に難しいのではないか。
関連記事:
「ようこそツイッターのない国へ!」ツイッター創業者とアイ・ウェイウェイのやりとり―中国中国で連日の反日デモ=ツイッター実況を翻訳してみた<1>ツイッターに中国語版登場、ネット検閲は健在=メディアが裏技利用法を指南―中国