2012年1月28日、スーダンで道路工事を行っていた中国企業の労働者29人が、スーダン人民解放運動系の反政府武装勢力に拉致されたと報じた。スーダン軍の兵士9人も連れ去られた。
South Sudan Freedom Rally / Mr. T in DC
■事件の経緯
スーダンで中国企業襲撃 武装勢力「29人拘束」
スーダン南部の南コルドファン州で28日午後、現地で道路整備を行っている中国国有企業の拠点が反政府武装勢力の襲撃を受け、中国人スタッフ20人余りが拉致された。新華社が29日伝えた。
襲撃したのは南スーダン与党、スーダン人民解放運動(SPLM)系の武装勢力。武装勢力メンバーはスーダン政府軍と交戦後に「中国人労働者29人を拘束した」と認め、「労働者らは無事で、安全な場所に移動させた」と話しているという。
30日付
新聞晩報によると、襲撃を受けたのは中国電力建設集団旗下の中国水利水電建設集団に所属する労働者。道路建設プロジェクトに従事していた。連れ去れた29人以外に18人の中国人作業員が現場付近の拠点で救出を待っているという。
労働者たちは27日、反政府武装勢力の襲撃の可能性があると知らされ、軍の護衛の下、拠点を離れたが、28日に危険は去ったとして戻った。その矢先に軍と武装勢力の戦闘が発生。拠点を制圧した反武装勢力が中国人作業員とスーダン軍兵士を連れ去ったという。
■ 中国人労働者の安全と釈放を約束―武装勢力幹部
30日未明、
中国中央電視台(CCTV)はスーダン人民解放運動(北方局)のアジール・アルマン(音訳)事務局長に取材した。事務局長は、同組織は中国と中国人を嫌っていることはなく、作業員の安全と今後の釈放を約束すると発言している。30日午後の速報ではすでに14人が解放されたと報じられている(
CNTV)。
昨年7月、南スーダン共和国が成立した。政権を担っているのはスーダン人民解放運動(SPLM)だが、現スーダン領出身のメンバーは南スーダンに参加することなく、「北方局」として反政府武装勢力としての活動を続けている。
独裁政権と混乱が続いたスーダンにも、中国は果敢にインフラ建設などのプロジェクトに挑んでいる。結果、今回のような襲撃事件、拉致事件が繰り返されている。昨年10月にも中国石油の労働者が南コルドファン州で殺害されたばかりだった。2008年には中国石油のエンジニア3人、作業員6人が誘拐される事件が起きている。うち5人が殺害され、4人が釈放された。
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