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2012年01月31日
以下、ご紹介する記事は2011年12月24日付人民日報海外版の記事。チベット人作家ウーセルがブログで紹介していたので、遅ればせながら存在を知った。長いプロパガンダ記事なので、要点をかいつまんでご紹介する。
四川省チベット族:「馬背テレビ」が無料で配布された
人民日報海外版、2011年12月24日
■馬背テレビの無料配布
「放牧しながらでも、外のニュースがわかる」と大喜びなのは26歳のチベット族の 青年。無料配布の話を聞いて数キロ先の県政府所在地まで取りに行ったのだという。
華僑の寄付を受けた国務院僑務弁公室及び四川省共産党委員会、四川省政府は、2011年に四川省のチベット自治州(アバ・チベット族チャン族自治州、カンゼ・チベット族自治州という2つの自治州がある)に住むチベット族同胞に1万台の「太陽電池式ポータブル衛星デジタルテレビ」を無料配布した。馬の背中に積んで自由に持ち運べることから、チベット族同胞は「馬背テレビ」と呼んでいる。
標高3500メートルの高地でも鮮明な画像を受信可能だ。52チャンネルの衛星放送が受信可能で、うち7チャンネルは少数民族チャンネルとなっている。カンパ・チベット語、アムド・チベット語などチベット語方言も含まれている。放牧中でも太陽電池でテレビを見られるほか、電源につないでの視聴も可能だ。
38歳の趙福康(漢族風の名前だがチベット族)も「これさえあれば、放牧中でも面白い番組が見られるぞ」と大喜び。趙さんの村には200人の住民がいるが、11台の「馬背テレビ」が無料配布されたという。
2010年には4万台が配布され、今年はさらに1万台が配布された「馬背テレビ」。しかし四川省によると、なお5万台が必要とされている。
■チベット族自治区の飛躍的発展
変わったのは衛星テレビだけではない、と趙さん。テレビも家具もなんでもあるぞと自慢げだ。政府が提供してくれた新型テントが特にお気に入りで、防水防風もばっちり。ベッドやストーブ、生活用品もセットになっているという。
四川省はチベット自治区に次ぐチベット族が多い地域。132万人が暮らしている。改革開放以来、中国政府はその経済支援に力を注ぎ、自治州の生活は大きな変化を遂げてきた。しかし、自治州の基礎条件は悪く、いまだに放牧暮らし、半定住生活を余儀なくされているチベット族は10万世帯、48万人にのぼる。
チベット族の生活を向上させるべく、四川省政府は「遊牧民定住計画、テント新生活行動」「9+3無料教育計画」(高校まで12年間の教育費無料化)、「衛生事業発展計画」を三大民生プロジェクトと位置づけ、推進してきた。
アバ・チベット族チャン族自治州松潘県ではこの3年間で143カ所の遊牧民定住拠点を作った。定住できる家と新型テントを提供したという。住宅の建設費は政府が大半を拠出、チベット族が一部を拠出する形式で行われた。1軒建てるのに5~6万元(約60~72万円)が必要だというが、政府が2~3万元(約24~36万円)を拠出してくれるのだという。