2012年2月1日、香港紙アップルデイリーに、中国本土人の越境出産に抗議する意見広告が掲載された。2012年、香港の「反中感情」が表面化し注目を集めている。
■中国人は醜いイナゴだ
中国本土人による香港での越境出産、個人旅行解禁以降大量に流れ込んでくる中国本土観光客への反発、そして1月に起きた「罵倒合戦」については、記事「「香港人は犬畜生」天安門事件参加者から北京大学教授になった男の「暴言」―中国」にまとめた。
これ以後も一部香港ネット民は「反中感情」を露わにしている。
「中国人は醜いイナゴ」と香港ネットユーザー=「香港人は犬畜生」発言に反発―香港メディア
香港ネットユーザーも負けてはいない。中国本土人は醜いイナゴを罵倒する替え歌「イナゴの天下」を作り、香港繁華街のブランドショップで行列している中国本土旅行客に歌って聞かせるというフラッシュモブが始まった。
さらに繁華街で地べたに座り休憩している中国本土旅行客に対し、「自分でマナー違反だときづかないのか」と説教する一幕もあった。ケンカ沙汰は起きなかったが、その場にいた広東省東莞市出身のツアーガイドは「お互いに罵りあうべきじゃないのに」と嘆いていた。
その替え歌「イナゴの天下」がこちら。
バスや地下鉄でうるさい、タバコのポイ捨て、人の土地を侵略する、越境出産、なんでも投機の対象にするあたりが中国本土人の罪悪としてあげられている。最初、このネタも本サイトで扱おうかと思っていたのだが、フラッシュモブに参加した香港ネット民がたったの7人だったということを知り、たいして意味はないかと捨て置いていた。
■反越境出産のフェースブックページに10万人が「イイネ」ところが香港ネット民の盛り上がりは私の予想以上だったようだ。香港の大手ネット掲示板・
高登の住民が「
中国本土妊婦の香港での出産に反対!10万人のイイネを政府に見せてやる!」というフェースブックページを開設。実際に10万人のイイネを集めている。そればかりか、お金を集めて、香港紙アップルデイリーに意見広告を掲載するにいたったという。
実際にお金を集めることに成功したのだから、その勢いは注目に値するのではないか。
興味深いのはなにかと話題になっていた孔慶東教授の「香港人は犬畜生」発言にはあまり触れられていないということ。問題の中心は越境出産問題にある。香港基本法第24条は香港で生まれた中国本土人の赤ちゃんは香港籍を得られると規定しているが、その改定を求めているようだ。
中国本土人が多すぎて、香港人が子どもを産める病院がないという問題。生活に関わる切実な問題だけに、ネットでの盛り上がりを超えた香港人全体の社会問題となっている。昨年12月、ドナルド・ツァン香港行政長官は北京で報告会を行った際に、この問題について中国政府の対応を求めていたが、もはや喫緊の政治課題として浮上していると言えよう。
(関連記事:中国人妊婦が香港の病院を占拠=困った現地政府は温家宝に直訴(水彩画))
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