■薄熙来打黒の功労者が失脚■*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年2月4日付記事を許可を得て転載したものです。
Bo Xilai _DDC7506 / Abode of Chaos
■薄熙来子飼いの部下・王立軍今年の十八大(中国共産党第18回全国代表大会)で、中国共産党政治局常務委員入りを狙う薄熙来・重慶市委書記。打黒と呼ばれるマフィア一掃運動によって評価を上げたことは、これまで何度か取り上げてきました。
その打黒運動に貢献したのが、以前の任地である遼寧省から連れて来た子飼いの部下・王立軍です。公安局副局長に起用されて「唱紅打黒」(革命歌振興と汚職・マフィア一掃)キャンペーンを展開、「打黒英雄」の異名をとるようになりました。2009年には重慶市公安局長に昇格、2011年からは重慶市の副市長を兼任するまでに出世しました。
経歴を見れば、公安畑一筋であることは明らかです。副市長の職務も公安局、武装警察、司法などの担当でした。ところが2日、突然雲行きが怪しくなります。重慶市が「王立軍同志は公安局長、党委書記を今後兼任しない。副市長として経済分野を担当する」とマイクロブログで発表したのです(
華龍網、
重慶日報)。
その後まもなく正式な通知が公表されます。王立軍が担当していた公安、国安、司法、政府安定業務は劉学普副市長の担当へと変更。王立軍は教育、科学技術、環境保全など、彼の経歴から考えれば門外漢の分野を任されています(
銭江晩報)。
この記事では王の功績と人柄に触れ高く評価していますが、公安部門で功績を挙げている人間がその分野から外されるのは異常な事態です。
■王立軍が叛逆した?!
中国本土メディアは「打黒英雄」が公安局業務から外されたことのみを伝えていますが、米国に拠点を置く反中国政府華字ニュースサイト・博訊網が驚くべき記事を掲載しています。
「王立軍、中央紀律検査委員会中央組織部部長に銃を向ける=薄熙来夫妻の汚職を暴露すると発言」(
博訊、2012年2月2日)
「王立軍重慶市局長が汚職を自供」(
博訊、2012年2月2日)
「王立軍重慶市前公安局長が薄熙来を告発=王の側近もすでに逮捕」(
博訊、2012年2月2日)
王は汚職容疑で中央紀律検査委員会の調査を受けている。薄熙来に見捨てられたと思った王は、ボスの汚職について自供したという内容です。
ちなみに王自身の汚職については以下の容疑があがったとのことです。
1:遼寧省時代(錦州市、鉄峰市)に鉱山を経営するマフィアに便宜を図った。
2:遼寧省時代、公安の設備、制服購入で見返りを得た。重慶市では公安の制服を新調。200元(約2400円)の制服を4000元(約4万8000円)と計上し、差額を着服した。汚職額は3年間で数百億元。金は友人を通じて海外に送金された。
3:大連、重慶で不動産をもらった収賄容疑
王立軍の問題については伏線がありました。昨年5月、鉄嶺市公安局で集団汚職事件の摘発がありました(
博訊)。1995年から2003年まで同市公安副局長、局長を務めていたのが王立軍。摘発の最終目標は王ではないかと噂されていたのです。
*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年2月4日付記事を許可を得て転載したものです。