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2012年02月07日
■アプリ削除から仁義なき舌戦へ
奇虎360社は、PC用セキュリティソフト「360安全衛士」を要する大手セキュリティ企業。スマートフォン・アプリにも進出しており、iPhoneの安全性を高める「360手機衛士」などのiOSアプリを公開している。
*画像は「360手機衛士」の公式サイト。アンドロイド、iPhone、シンビアン向けにアプリを提供している。
2日、アップル社のApp Storeから奇虎360社製アプリが一斉に削除され、話題となった。アップルは人気アプリを模倣した紛らわしい類似品アプリを一掃したばかり(CNET JAPAN)。奇虎360社製品も類似アプリと勘違いされたのではないかとの憶測も飛び交った。
さすが中国と驚いたのが、奇虎360社のライバル・キングソフトの発表。「奇虎360社のアプリは個人情報を盗用している疑いがあり、多くのユーザーから訴えがあったため、アップル社が対応した」と報じている(南方網)。奇虎360社は事実に反する言いがかりと反発、告訴する方針を示している。ライバル企業同士の仁義なき舌戦となりそうだ。
■公開停止は「好評コメント攻撃」によるものだった
奇虎360社が7日に公開した声明によると、問題はApp Storeコメント欄の異常にあったという。「360手機衛士」など大量のマイナス評価がつけられていたほか、現在は宣伝していないメッセージアプリ「360口信」に大量のプラス評価が付けられていた。アップル社が調査したところ、プラス評価は同一IPから発信されたものだったため、不正と判断され、公開停止措置が下された。
ちなみに捜狐によると、アップル社は1月末に奇虎360社と連絡を取ろうとしたが、開発者アカウントに登録されていた連絡先が不正確だったため連絡がつかず、突然の削除という事態にいたった。なおアップル社と連絡を取り合った結果、24~48時間以内に販売停止処分は解除される見通しだという。
奇虎360社は不正確な情報を流したライバルのセキュリティソフトメーカー・キングソフト、不正確な情報を流したポータルサイト・騰訊網(親会社は奇虎360の宿敵・テンセント。参照リンク:オタ活動)を告訴する方針を示している。
同社は指摘していないが、大量の好評コメントによる「攻撃」はライバル企業によるもの、と思わせるような文面だ。そうなれば、敵の候補はキングソフトか、テンセントとなろう。その意味で告訴は不正確な情報を流したことへの対抗というよりも、できる限り反撃してやれという反発にも思えるが……。
■中国のiPhoneアプリ開発者が注意すべきこと
さて、声明の最後では、iPhoneアプリ開発者向けに2点を提言している。
・中国市場の競争環境はきわめて複雑です。自分のアプリに大量のコメントがついている場合、好評不評を問わず注意する必要があります。
・開発者は同一アカウントで複数の製品を発表するべきではありません。一つの製品で問題が起きた時、全製品が公開中止とされてしまうからです。