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iPad世界販売停止の危機=商標を失ったアップル、今度は輸出禁止申し立てに直面―中国

2012年02月13日

2011年末、訴訟で敗れて中国本土でのiPad商標権を失ったアップル。このたび中国本土での販売禁止の訴訟を起こされたほか、輸出禁止まで申し立てる予定だという。最悪の場合、中国本土からiPadを出荷できない危機を迎えた。


iPad stand
iPad stand / Veronica Belmont

■これまでの経緯


・2000年、唯冠国際(Proview)の台湾子会社が世界各地で「iPad商標」を取得。
・2001年、 唯冠深圳(中国本土子会社)が中国本土における「iPad商標」を取得。

・2006年、アップル社がiPadの販売を計画。しかし、「iPad商標」は唯冠国際がすでに取得している。まだiPadという名前の製品が販売されていないことから、放置された無効な商標だとして英国で訴訟を起こすもアップルが敗訴。

・2009年、アップルは唯冠国際台湾からiPad商標を購入。裁判及び商標購入にあたってはアップルが前面に出ることはなく、IP社というダミー会社を交渉窓口としていた。そのため唯冠も大もうけのチャンスに気づかなかったのか、ふっかけることなくわずか3万5000ポンド(約426万円)で商標を売却。

・2010年、iPad発売!その直後、唯冠深圳が「唯冠国際台湾が保有していた商標は中国本土を含んでいない。保有していない商標を売れるはずがない。中国本土の商標は唯冠深圳が保有しています」と主張。

・2011年12月、アップル社、中国本土でのiPad商標の所在確認を求めて提訴するも敗訴。アップルは上訴し、現在は二審審理が進行中。

という流れ。
(関連記事:「罠にはめられたアップル?!全面敗訴で中国でのiPad商標を失う」「【続報】中国でのiPad商標を失ったアップル=相手企業は1200億円を要求」)


■唯冠の攻勢

一審ではアップルが敗訴したとはいえ、現在は二審が審理中なのでまだ判決が確定したわけではない。だが、アップルに高値で商標を売りつける気まんまんの唯冠は先日来、激しい動きを見せている。

2012年2月6日、上海市浦東新区法院で、「中国本土におけるiPad販売禁止」を求めて提訴した。アップルだけではなく、大手家電販売店・国美電器も訴えられている。今後、さらに多くの販売店が訴訟対象に加えられる可能性があるという。22日にも第1回公判が行われる。

上海以外では訴訟ではなく、工商部局への申し立てという手法を採用している。全国9省・市、約20の工商部局に「アップル社がiPad商標を侵害している」と申し立てた結果、すでに一部地方では調査が始まっているという。北京市や河北省などではiPadの店頭販売が禁止されたとも伝えられている。

さらに唯冠側は切り札とも言える一手を予定している。それが税関総署に対する輸出入禁止の申し立て。iPadはすべて中国本土の工場で製造されているため、輸出禁止となればその影響は世界的なものとなる。


■落としどころはどこに?

経営破綻から再建中の唯冠にとって、目指すモノは「少しでも高くアップルに買い取ってもらうこと」だけ。一方、アップルも「裁判で負けた以上いくらかお金を支払うのは仕方がない」はずだ。結局は値段の折り合いがどこにつくかがカギとなる。

アップルは上告して時間を稼いでいる間にゆっくり交渉しようという腹づもりだろうが、そうはさせまいと唯冠がちょっかいをかけてきた……というのが2012年2月の情勢だ。とはいってもその影響は絶大。アップルストアや家電量販店でiPadが売れなくなるとなれば中国本土の消費者は不利益を被るし、万が一、輸出入禁止の申し立てが認められれば、世界中で売れないという惨事となる。

まだ正式な値段交渉は始まっていないというが、唯冠側代理人は100億元ドル(約1200億円)という価格を口にしている。その価格が上限となるのだろうが、中国各地の工商部局や税関総署の動きを見ながらの値切り交渉が始まりそうだ。

参照リンク:
唯冠拟向海关申请禁止进出口iPad」財経網、2012年2月13日
涉嫌侵犯深圳唯冠商标权 苹果iPad在石家庄被工商部门查扣」財経網、2012年2月13日
苹果iPad商标之争续:深圳唯冠或追加被告对象」捜狐、2012年2月13日


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