■“インド洋の真珠”ムスリムの島モルディブで政権転覆■
*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年2月14日付記事を許可を得て転載したものです。

Maldives / Sarah_Ackerman
■大統領の突然の辞任「インド洋の真珠」、島国モルディブで政争が起きたこと、その煽りを受け、ホテルのスパが閉鎖されたことを、年初にお伝えした。
(関連記事:「モルディブでホテルのスパがすべて閉鎖された」チェンマイUpdate、2012年1月3日)それから1ヶ月、昨年の中東・アフリカと同様に、このムスリムの島でも政権がひっくり返った。気候変動と闘う姿が映画の主人公にもなったモハメッド・ナシード大統領。2008年にモルディブ初の選挙で就任した同大統領は2012年2月7日、警察や軍の威嚇に屈して、突然辞任した。
モルディブ前大統領に逮捕状、首都で衝突続く
反政府デモの激化で大統領が辞任に追い込まれたインド洋の島国モルディブ5 件で、政治的対立が深まり、首都マレで衝突が起きるなど混乱が続いている。辞任したナシード前大統領に対しては9日までに逮捕状が出された。
(…)ナシード氏はモルディブ初の民主的な選挙で選ばれた大統領だったが、警察官らが加わったデモで7日に辞任に追い込まれた。これを受けて首都マレでは、ナシード氏の支持派と警察との衝突が激化。ナシード氏が銃で脅されて辞任を強要されたと主張しているのに対し、対立陣営はナシード氏が同国を混乱に陥れたと反論している。ナシード氏は、後任の大統領に就任したハッサン氏にも辞任を要求した。
■前大統領の腹心逮捕が発端に
発端となったのは今年1月、アブドゥラ・モハメッド犯罪法廷裁判長の逮捕だ。同裁判長は、30年間にわたる独裁政権を築いたアブダル・ガユーム前大統領の懐刀。その男を不正行為と反対派優遇の容疑で逮捕させたことにより、イスラム系反対派の反発に火が着いた。
「大統領は非イスラムの独裁者だ。」反対派はこの3週間、気勢を上げてきた。民主的に選ばれた大統領が独裁権力を振るったと糾弾されたのだ。
大統領派も反対派も互いに、軍や警察、放送局、党本部に攻撃をかけたようだ。結局、ナシード大統領は、来年の大統領選を待たずに辞任。裏で反乱を操っていたと噂されるモハメッド・ワヒード副大統領に大統領職を譲った。ワヒード新大統領は各党連立によって、来年11月の選挙まで運営したいと言っている。
■イスラム守旧派の台頭1988年のクーデターでインド軍が介入したことからも明らかなように、モルディブではインドの影響力が強い。しかし、今回の政変はガユーム前大統領派の進歩党による反撃であり、その裏にはイスラム原理主義勢力があると見られている。
政争の色が濃いが、観光を主産業に国の解放に動くナシード派と、イスラムの価値を守ろうとするガユーム派を中心とした守旧派との争いにも見える。
国としてイスラム教以外の信教を禁じ、酒を飲むことや肌を見せることを禁じているのに、人口33万人の国の経済は、酒を飲み、ビキニで肌を焼くキリスト教徒、さらにユダヤ教徒の90万人観光客で支えられているという矛盾がある。大統領の私邸に押し入った兵隊が酒のビンを見つけて気勢を上げていたのがテレビでも映されたという。大統領はユダヤと取引したとも非難された。
■米国が新政権を承認
ホテルのスパを閉鎖させ(今は再開されたようだが)、開放派政権をひっくり返した守旧派。観光を除けば、モルディブの産業は漁業くらいしかない。失業率は14%台に達し、人口の1割近くの3万人がヘロインを吸い、賄賂が横行。アルカイダに近い者も暗躍するというこのムスリムの島国はどこへ行くのだろうか?
反対派は博物館に押し入り、12世紀以前の仏教時代の仏像などを破壊したという。まるで、アフガニスタン・バーミヤンの仏像破壊のようだ。アルカイダ関係の人間の暗躍といい、イスラム過激派のにおいがする展開だ。