2012年2月9日、中国国家ラジオ映画テレビ総局は海外ドラマ規制を通達した。ゴールデンタイムの放映禁止、50話以上の長編ドラマの放映禁止などの内容が盛り込まれている。

黑白电视机 / x.Rain.z■海外ドラマ規制
9日公布の「国家ラジオ映画テレビ総局による境外ドラマの輸入・放送の管理の更なる強化と改善に関する通知」では、主に以下のような内容が盛り込まれた。
・海外ドラマの輸入申請は毎年1月、7月の2回に限定する。
・輸入ドラマの品質向上を目指して高画質ドラマの輸入を優先する。原則的に50話以内のドラマに限る。
・午後7時から10時のゴールデンタイムには海外ドラマの放映を許可しない。また海外ドラマの放映時間は、同チャンネルのドラマ放映時間の25%以内に限定する。
・各チャンネルが「海外ドラマ紹介コーナー」の体をとって海外ドラマを放映することを禁止する。番組コーナーでの紹介時間は3分を超えてはならない。累計でも10分を超えてはならない。海外ドラマを紹介する情報番組では、ドラマを放映する時間は1分を超えてはならない。
・海外ドラマの制作国比率の管理を強化する。あるチャンネルが某国・地域の海外ドラマを集中的に放映することを禁止する。
■海外ドラマ対策か一見すると、韓流ドラマ対策ではないかとも思われるが、
中央日報日本語版は「今回の措置の影響は大きくないという見方もある。文書で公式化されただけで、最近の中国テレビでゴールデンタイムに放送された韓国ドラマはほとんどなかったからだ。新しい指針が実質的にはすでに反映されてきたということだ」と指摘している。
財訊網も通達の主眼は輸入ドラマの品質向上にあると指摘。昼間など視聴率の低い時間に穴埋め的に流されている台湾ドラマ、インドドラマの締め出しが狙いだと分析している。そうした作品にはだらだら数百話も続くものがあるため、「原則50話以内」という規定が設けられたのだという。
新通達は「ゴールデンタイム放映禁止令」として報じられているが、主眼は零細チャンネルの昼間、えんえんと輸入ドラマの再放送が続いている状況への対策ということではないか。日本のCS的状況、台湾のケーブルテレビ的状況といってもいいかもしれない。
そうなると、低コストでCS的世界の覇者となった韓国ドラマの放映時間が一気に減る可能性は高そうだ。もっとも禁止されても中国国産ダメドラマがえんえん流されるだけのような気もするが……。
■日本への影響と動画配信サイト規制韓国に比べて値段が高いためか、あるいは韓国よりももっとつまらないためなのか、日本産ダメドラマは中国テレビ局にたいして買われていないため、今回の通達の影響は小さそうだ。とはいえ、国別比率管理も強化するとのことなので、「うちは日本ともパイプがあるし、日本製ドラマをちょくちょく輸入しよう」と考えるテレビ局が(もしあれば、だが)、閉め出されるという影響はありそうだ。
また今回の規制はテレビを対象としたものだが、インターネットの動画配信サイトにも同様の規制が導入されるとの観測も浮上している(
中金公司)。これまでもさんざん規制されてきたテレビと違い、動画配信サイトは自由に番組を配信してきた。それは海賊版も含めた自由すぎるほどの自由で、日本産ドラマもたいていはそろっている。
動画配信サイトに規制が導入されれば、このあたりの状況が一変する可能性はある。もっともテレビと違って、動画配信サイトの規制はなかなか難しく、厳格に運用すればビジネスが崩壊しかねないので、どこまで実効的な規制が導入できるかは疑問でもある。
■笑える条文個人的に笑ったのは、「各チャンネルが「海外ドラマ紹介コーナー」の体をとって海外ドラマを放映することを禁止する。番組コーナーでの紹介時間は3分を超えてはならない」という条項。日本にも映画紹介と銘打って、ほとんど全ストーリーを紹介しているような番組もあるが、中国はさらにその上をいく「ドラマをそのまま全部放映する紹介番組」があったらしい。
海賊版ではありません、紹介しているだけです、というグレーゾーン(?)だったのだろうが、いやはやなんとも大胆なやり口である。国家機関の通達にこうした「抜け穴」ふさぎの細かい規定が書き込まれているのがなんとも中国的という印象だ。こんなのを盛り込んでいるから通達やら法律やらがやたらと冗長になってしまうのではないか。
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人気なのかなと思いましたが。僕の中国人の友達は全員韓国ドラマと韓国が嫌いと言っていましたね。