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乾期に異例の洪水=夏の「大洪水再来」に不安広がるタイ(ucci-h)

2012年02月15日

■乾季の2月、アユタヤが早くも洪水になった……■

*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年2月13日付記事を許可を得て転載したものです。


Ayutthaya, Thailand
Ayutthaya, Thailand / RussBowling

■異例となる乾期の洪水


アユタヤが洪水になった。

去年の話ではない。この2月上旬、アユタヤのセナ地区で鉄砲水があり、6カ村が洪水となった。原因は上流のプミポン・ダム、シリキット・ダムの放水量を増やしたからだ。「ダムの水位が今年は異常に高く、このまま雨季を迎えると再び洪水のおそれが強い」という見方を受け、インラック政権はダムの放水量を増やしたが、これが異例となる乾季の洪水をもたらしてしまった。

ダムの放水量の増加がチャオプラヤ川の水位を上げ、アユタヤを流れる支流のノイ川の氾濫につながったようだ。まあ洪水と言っても10cmほど水があふれた程度だが、昨年に続いて新年早々から水害に遭ったアユタヤの人々は「1年中水浸しになるのか」と怒っている。

政府は「適正なダムの放水量を探る」と言っているが、昨年より深刻なのは大洪水の被害を受けたシンブリ、アユタヤ、スパンブリの各所に水がなお残っていることだ。「政府は十分排水をしていない」と地元民は怒っている。もし水が残っているところへ今年も洪水がやってきたら被害は拡大する。

ピーチャ自然資源・環境大臣は、「政府は洪水防止対策に3500億バーツもの予算を確保した」と主張しているが、水路建設を含めた洪水防止プロジェクトの候補が出てくるのは7月末、今年の雨季に入った後だ。政府自慢の洪水防止対策は今年の雨期には間に合わない。


■古代の智慧、現代の失敗

アユタヤ王朝時代、中部平原地帯は毎年のように洪水にさらされたという。ビルマの襲撃に対抗するため、あえて洪水地帯を作ったと言われている。洪水にする場所、水路になる場所を定め、住民の生活を守ったという。

それが現代ではどうか。バンコク都など地方自治体は自然地帯と開発地帯の区画を分け、水の流れを確保しようと努めたが、失敗に終わった。本来ならば水路となるべき場所が、開発業者による役人の買収などの結果、道路や工場として開発されてしまったのだ。これが洪水被害の拡大につながったと言われている。タイの工業団地の多くは昔の水路上に建設されている。

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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年2月13日付記事を許可を得て転載したものです。

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