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中国老舗ミステリサイトが選ぶ2011年トップ10=日本部門トップは西澤保彦『七回死んだ男』(阿井)

2012年02月19日

■推理之門 2011年度10大推理小説結果発表■

*本記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の2012年2月19日付記事を許可を得て転載したものです。


■中国老舗ミステリサイト「推理之門」

中国ミステリファンが集まるウェブサイト「推理之門」。2000年から続く老舗サイトとして、ファンの交流の場、創作小説の発表の場として中国推理業界を支え、業界の活性化に一役買ってきた。

「推理之門」からは多くの作家が輩出されている。百度百科によると現在も『歳月推理』で活躍している杜撰や午曄、『最推理』で長編を連載する王稼駿らも「推理之門」出身だ。数年前に日本で作品が出版された水色一天もその一人だという。

「推理之門」は、いわば一読者が小説家に変身する、中国大陸推理小説家の登龍門と言っていいだろう。


■2011年推理小説ベスト10

その「推理之門」で昨年12月から日本、欧米、そして中国の推理小説ベストテンを決める投票が始まった。投票対象作品は2011年1月から12月までに中国大陸で正式に出版された推理小説、またはミステリ関係の研究本である。

投票告知ページに対象作品のリストが掲載されているが、その数に驚く。2011年に出版されたミステリ関連作品は国内外合わせて500冊を超えている。そのうち中国オリジナルの作品は190点に上る。そして2月15日、ついにベストテンが発表された。その結果をご紹介する。なお出版社名は省略した。

1位:ジョン・ディクスン・カー《三つの棺》
2位:コナン・ドイル《ホームズ全集(挿絵版)》
3位:エドワード・D・ホック《サム・ホーソーンの事件簿Ⅲ》
4位:アガサ・クリスティ《ポアロ短篇集》
5位:アンソニー・ホロヴィッツ《絹の家》
6位:エラリー・クイーン《ダブル・ダブル》
7位:ジュリアン・シモンズ《ブラッディ・マーダー探偵小説から犯罪小説への歴史》
8位:エラリー・クイーン《犯罪カレンダー》
9位:ポール・アルテ《おぼろげな映像》
10位:ダシール・ハメット《マルタの鷹》 

1位:西澤保彦《七回死んだ男》
2位:三津田信三《首無の如き祟るもの》
3位:島田荘司《ネジ式ザゼツキー》
4位:折原一《倒錯の死角》
5位:伊坂幸太郎《アヒルと鴨のコインロッカー》
6位:東野圭吾《新参者》
7位:江戸川乱歩《D坂の殺人事件》
8位:東野圭吾《超・殺人事件》
9位:湊かなえ《往復書簡》
10位:島田荘司《龍臥亭幻想》

1位:水色一天《乱神館記・蝶夢》
2位:既晴《献給愛情的犯罪》
3位:遠寧《紅線伝》
4位:雷米《心理罪之暗河》
5位:時晨《罪之断章》
6位:褚盟《謀殺的魅影:世界推理小説簡史》
7位:三巻短篇集《時間的灰燼》(注:推理作家たちの短篇集)
8位:王稼駿《明暗線》
9位:廖凌雲編《天才也瘋狂的万字謎題:悪魔遊楽園》(注:ミステリクイズ集)
10位:蔡駿《謀殺似水年華》

リンク先の投票者リストを見てもらえるとわかるが、この企画に参加した投票者はたったは70名ほどしかいない。現サイト管理人にして推理小説研究家の老蔡氏も投票しているものの、この結果が中国人読者の総意とは言えないだろう。しかし、一端とはいえ、中国人読者の嗜好を知ることが出来る良い企画だった。


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