2012年2月15日、中国国家ラジオ映画テレビ総局は「
国家第12期5か年計画時期文化改革発展計画綱要」を公布した。綱要発表に関する記者会見の席上、年3000万元(約3億6000万円)を投じて、テレビドラマのシナリオを公募する方針が発表された。
タイトルなし / ColumbusCameraOp
■「もっと自由に仕事をさせろよ」
昨年末、中国の人気作家・韓寒はブログで3本の論考を発表、注目を集めた。その3本目となる「自由を求める」には次の一節がある。
(関連記事:口だけの革命はもうたくさんだ!人気作家・韓寒のド直球コラム「自由を求める」―中国)
文化の制限によって、中国は世界に影響を与える文学や映画を生み出せないでいる。ぼくら文化人の成長を妨げているんだよ。
それからね、中国には世界的影響力のあるメディアがない。ただね、お金がなくても買ってこれるモノはある。本当のところ、文化的繁栄はもっとも金がかからないものだよ。規制が減れば必ず繁栄するんだから。もし、君たちが「中国の文化に規制はありません」と言い続けるなら、そりゃあまりに不誠実ってものじゃない?だから、来年は文化、出版、報道、映画に対する規制を緩和して欲しい。
映画、テレビ番組、書籍、新聞、雑誌、ネット……どんなメディアであれ、当局の規制に悩まされているのは変わらない。別に反体制的な人間ではなくても「もっと自由に仕事させてくれよ」と感じている人は多い。ところが韓寒やその他メディア関係者の願いとは裏腹に、文化体制改革をスローガンに一部では規制強化が進んでいる。
■民間から優秀なドラマシナリオを募集、でも……記事「
中国、海外映画輸入規制を緩和=ついでに日本アニメ配信の国営サイト立ち上げへ」「
ダメ韓流ドラマ、ダメ台湾ドラマを締め出しへ=中国の海外ドラマ輸入規制」でも触れたが、中国当局は国産・輸入を問わず、映画やドラマの「品質向上」を政策課題として位置づけたようだ。もっとも「3D映画は高品質」「50話以上だらだら続くドラマは低品質」という線引きが本当に品質向上につながるのかははなはだ疑問だが。
記者会見では、テレビドラマシナリオを公募することを発表。採用者には100万~300万元(約1200万~3600万円)の賞金を支払う方針が示された。
一方で、「近現代物、革命史物、工業物、農村物、子ども物、少数民族物のオリジナルドラマの創作を推奨」「信頼できる真実を命とし、正確に人々を導くことを魂とする、史実に則った歴史ドラマは文明の継承に重要な役割を果たす」という方針も発表されている。人気のあるタイムトラベル物やらスパイ物はよろしくないという意味となる。日本で多い漫画原作のドラマなど全滅だろう。これではいくらシナリオを公募しても集まってくるのは昔ながらの革命物のようなものしか出てこないような気もするが……。
昨年の六中全会(中国共産党第17期中央委員会第6回全体会議)で「文化体制改革」が採択されて以来、およそ文化と関連づけできそうなあらゆる分野で、さまざまな改革、新法律が打ち出されているが、クリエーターたちが望んでいるような創作の自由とは真反対の方向に進んでいるように見える。
関連記事:
口だけの革命はもうたくさんだ!人気作家・韓寒のド直球コラム「自由を求める」―中国中国、海外映画輸入規制を緩和=ついでに日本アニメ配信の国営サイト立ち上げへ
ダメ韓流ドラマ、ダメ台湾ドラマを締め出しへ=中国の海外ドラマ輸入規制
逆に中国政府が喜びそうな内容から考えてみると、パキスタンと中国の美少女(10歳±2歳くらい)をキャスティングして、ウルムチ以西の鉄路・道路の整備を描きつつ、急速に深まる中国とパキスタンの関係に焦点を当てて、中国語学習ブームが起きているパキスタンの現状を描けば、官製シナリオライターとしてかなり評価してもらえるのではないかと思います。
具体的には、パキスタンの少女が夏休みにビジネスマンの父親の北京出張に合わせて北京に遊びに来て、同世代の北京の少女と、故宮か万里の長城といったいかにも迷いそうな場所で出会い、友情を育み、次は北京の少女がパキスタンの少女に会いに行き、古い建築物が残るラホールや近代的なビルが立ち並ぶイスラマバードを訪問するという感じで良いでしょう。