■薄熙来辞任のうわさ■*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年2月19日付記事を許可を得て転載したものです。
Chinese flag / Philip Jägenstedt
■シリーズ:「打黒英雄」の失脚と薄熙来の危機
解任の「打黒英雄」が米領事館に逃亡?謎の「休暇式治療」発表で祭りに(水彩画)
カナダ首相と会見も……新華社に存在を消された薄熙来(水彩画)
解任の「打黒英雄」が米領事館に逃亡?謎の「休暇式治療」発表で祭りに(水彩画)
薄熙来失脚を狙う罠、黒幕は江沢民の政敵か?体制外メディアが報じる中国の政争(水彩画)
公安業務から解任された「重慶マフィア摘発の英雄」=「汚職で逮捕」との報道も―中国(水彩画)
「打黒英雄」の失脚は子飼いの部下を潰された賀国強の報復か―中国(水彩画)
「薄熙来は中国最大の偽君主」失脚した部下の公開書簡=重慶市トップ交代の観測も(水彩画)
重慶市長が装甲車を引き連れ殴り込み、団派の人事攻勢……王立軍事件の「謎」を考える(水彩画)
王立軍事件の行方=薄熙来は無傷で済むのか、重慶市政法会議を欠席(水彩画)
■薄熙来が辞表提出?!20日昼頃からツイッターのタイムラインで散見されている情報です。20日開催の中国共産党政治局会議の席上、薄熙来・重慶市党委書記が、王立軍が成都の米国領事館に向かった一件のため辞職を申し出たとのことです。
習近平が外遊で不在のタイミングで開かれた異例の政治局会議で提出されたため辞職願いは保留とされ、次回の政治局会議を待つと報じられています。
参照リンク:
■ソースは香港・中国人権民運情報センター
いずれも香港の中国人権民運情報センターをソースとしています。他ソースを確認してから判断したいところ。渦中の王立軍が政治的にまだ健在なことを考えれば、辞表提出が事実だとしても決定は王の処分が決まってからとなるでしょう。また薄熙来が倒れれば一蓮托生の黄奇帆も無傷では済まされませんし。
なお、薄熙来は辞職後、全人代常務委員会工作委員会主任になると報じられています。このポストは引退した省トップが務める定番です。昨年後半に定年で退任した省長が各委員会の主任、副主任に任命されていますから、もっともらしいと言えばもっともらしいのですが。
■薄熙来の後継は周強か21日の中国外交部記者会見で、辞任願提出報道が話題となりました。洪磊報道官は「事実ではない」と否定しつつも、状況は把握していないと意味深なコメントもしています。また、重慶市党委宣伝部も同様に薄熙来に対するデマと断言。同市新聞弁公室も辞任情報は受けていないと回答しています。まあ、現時点では知らないって言うでしょうけどね。
薄熙来の後継には、以前から出ていた周強の名前が挙がっています。閣僚級である中国共産主義青年団の中央書記処第一書記になったのが李克強と同じ38歳というエリート。1960年生まれの51歳は第6世代のホープであります。
湖南省で省長、党委書記として務めること足かけ7年。胡錦濤が好む地方修行経験者ですし、団派のホープ・関海祥という、知らぬ中ではない人間が重慶市公安トップに就任したことを考えても、「薄熙来が危ない」なら「次は周強」という観測が有力視されています。
また、周強は北京市党委書記に昇格という観測も以前からささやかれていました。直轄市である重慶市のトップ(党委書記)になるためには政治局委員ではなくてはなりませんので、その点が問題ではありますが。北京市にせよ重慶市にせよ、トップ就任話に毎回周強の名前が出てくるあたり、「ポスト習近平」の最有力候補は、同じく第6世代のエース・胡春華ではなく、周強ということなのでしょう。
■ポスト薄熙来の玉突き人事予測さらに周強が重慶市党委書記になるという前提の下、以下のような玉突き人事異動が予想されています。
●湖南省党委書記徐守盛(湖南省省長)
●湖南省省長代理馬正其(重慶市常務副市長)
●重慶市組織部長葛慧君(浙江省副省長)
●浙江省副省長呉政隆(重慶市万州区党委書記)
●重慶市常務副市長翁傑明(重慶市秘書長)