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iPad商標問題でアップルが反撃=唯冠は交渉価格を4分の1にディスカウント―中国

2012年02月24日

中国の「iPad商標」問題は激しさを増している。またこれを期に中国の商標問題全般にも注目が集まっているので、整理したい。


Apple Store du Louvre
Apple Store du Louvre / youtalktome83


シリーズ:iPad商標問題
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■経緯

詳細な経緯についてはこちらを参照。

・2000~2001年に唯冠が「iPad商標」を取得
・2009年に英IP社が商標を買収。アップル社に転売。
・2010年に唯冠が「売却した商標は唯冠台湾保有分だけ。唯冠深圳が保有する中国本土の商標はうちのもの」と主張。
・2011年末、「iPad商標」が唯冠深圳にあると裁判所が認定。アップルは控訴。


■唯冠の全面攻勢

2012年2月、唯冠はついに行動を開始。中国各地の工商部局にアップルの商標違反を申し立て。河北省石家庄市など一部地域で店頭から撤去されたほか、一部大手家電店、ネットショップでの販売も中止されたもよう。また広東省恵州市では販売停止を求めて裁判を起こし、17日に認められた。上海でも22日に同様の裁判が行われたが、23日に販売停止申し立て棄却の判決が下った。唯冠は控訴する方針(財経網)。

さらに大技として税関総署にiPad輸出入禁止を求める申し立てを行ったという。万が一、申し立てが認められれば、中国で製造したiPadが輸出できないという異常事態になるかもしれない。

さらに関係者は2009年の買収話を蒸し返し、「うちから買収する時アップル社の名前をださずにIP社というダミー会社を前に立てていたやんか。「IP社という会社名(IP Application Development)を略記すると、IPadになるから。念のため取得しておきたかったんです~」とかウソついてさ。詐欺みたいなもんやで、ホンマ」と口撃。

一方で「裁判での決着っていうか、お金で解決できる問題ですけどね」と、アップルが金さえ払えばすぐに取引終了の方針を表明している。唯冠は破綻し債務整理中だが、債権を持つ8銀行は「4億ドル(約320億円)一括払いで終わりにしまひょ!」と表明しているという(財経網)。

以前の「100億元(約1200億円)賠償ぷりーづ」という関係者発言からいきなり4分の1にまでディスカウント。アップル的には「もう一声~」と値切るのか、「あくまで裁判でけりをつけるッッッ」という方針なのかが気になるところだ。


■アップル社も口撃

これまで沈黙を守ってきたアップル社だが、同社弁護士が書簡で反撃している(財経網)。曰く、IP社と唯冠との交渉において、アップル社側は当初から唯冠深圳に参加を求めていたが、唯冠側から「うちは多国籍企業であり、唯冠深圳もその一部。本部だけで話せばいいのだ」と拒否られたとのこと。

「唯冠台湾と唯冠深圳はグループ企業だが別会社。iPad商標売却の一件について唯冠深圳はあずかり知らぬ話である」という主張は真っ赤なウソだと批判している。実際、商標買収契約には中国本土の商標を譲ると明記されているという。

当初は「アップルのうっかりミス」で中国本土の商標を取り逃した可能性もあると見られていたが、さすがにそんな凡ミスはなかったもよう。これだと中国本土でアップルから金を巻き上げても、「自分たちの持っていないものを売りつけた唯冠台湾」に対して、アップルが訴訟を起こすという展開もありそうだが……。

なお唯冠側弁護士は「これまでの裁判でも提出されていた資料で新証拠はない。アップルの書簡は世論を誤らせるもの」と反論している(財経網)。


■中国商標問題に注目

iPad問題が呼び水になったのか、なんだかいろいろと面白い中国商標ネタが報道されている。

「iPhoneとは照明器具だ」 中国企業が商標権主張
朝日新聞デジタル、2012年2月21日

米アップルは電話やコンピューターなどについては商標を登録していたが、照明や調理器具などにはしていないことを発見。2010年8月に、当局に商標の登録を申請した。

アップルは「iPhoneは有名なので種別を超えて商標権が認められる」と主張。企業側は「10年時点で中国ではiPhoneは有名ではなかった」と反論している。

仮に中国企業に商標が認められた場合、アップルが中国企業に「iPhone」を使わせないためには、高額での商標の買い取りを迫られる恐れがある。

クレヨンしんちゃん訴訟、中国企業に100万元の賠償請求―中国
レコードチャイナ、2012年2月18日

日本の漫画家・臼井儀人さんの著作漫画「クレヨンしんちゃん」の人気は中国でもすっかり定着しているが、出版権や商品化権を含む同漫画の商標所有者である双葉社が、上海・広州・江蘇の企業3社を相手取って著作権侵害訴訟を起こし、賠償金約106万元(約1325万円)の支払いを求めた。この訴訟事件の審理が15日、上海第一中級人民法院で開かれた。

フェイスブック、商標権は万全? 中国で60超申請済み
朝日新聞デジタル、2012年2月22日

世界最大の交流サイト(SNS)米フェイスブックは中国当局に対し、60以上の商標権を申請し、一部は登録を終えていることがわかった。同社は中国市場に本格的には参入していないが、誰かに横取りされないように自衛したものとみられる。

中国でも「商標権確認訴訟はまだ続いているのに、店舗からの撤去を工商局に申し立てできる現行制度は問題があるのでは?」など、商標論議が盛り上がっている(中国保険報)。

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