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「人民の感情を傷つけることは許さない」人民日報も河村たかし発言批判の社説掲載(水彩画)

2012年02月24日

■楽しい人民日報の社説■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年2月24日付記事を許可を得て転載したものです。


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IMG_6887 / 荞麦故事

■河村発言の波紋


河村たかし名古屋市長の「通常の戦闘行為はあって残念だが、南京事件というのはなかったのではないか」という発言が、「南京事件はなかった」と報じられ、切り込み隊長・環球時報が真正直に反発しています。正直気にするような内容ではありません。極右認定は単なる記号ですし、過去に極右認定を受けた安倍元総理や石原東京都知事も、今やなかったことになっています。


■人民日報も社説で批判
 
23日になって、親玉の人民日報も社説で何やら言いだしましたが、まあ大した話ではありません。

中国人民の感情を傷付けることは許さない
人民日報、2012年2月23日

南京大虐殺を公然と否定した、日本の河村たかし名古屋市長は良識に欠けているだけでなく、無知である。この人は中国人民の感情を激しく傷付ける言動に対し謝罪を拒否したばかりか、南京と友好関係は変わらないと厚顔にも宣言している。

中国人民は世界各国の人民と友好関係を持ちたいと願っているが、友好には原則がある。歴史を忘れることは裏切りに等しい。歴史の事実をあらそうというのは、正義と邪悪の対決である。民族尊厳にかかわる歴史問題で、中国人は曖昧にするつもりは全くない。

中国政府と南京市はすでに厳正な立場を表明した。多くの中国ネットユーザーが怒りをあらわにし、河村たかしを「招かざる人間」とするよう続々と呼びかけており、名古屋旅行をボイコットするよう主張している。一市長として、河村たかしが正式な公務の場で発表した発言は個人の行為などではない。中国の民衆がこのような下劣な市長に怒りをあらわにすることは理解できる。

報道では、21日夜、名古屋市は80件の「市民の意見」を受け取った。55件は賛同を示すもので、25件は反対するものだった。2つの数字の絶対数は世論調査の根拠となるような数字ではないが、河村たかしの口から出まかせに他人を非難する発言は、日本では個別の現象ではなく、社会に一定の基礎を持つ。

日本は国家として、侵略に対する徹底した反省に欠け、心からの贖罪は完全ではない。世界各国のこうした見方は、歴史教科書を修正し、靖国神社参拝などの事件で強化され、河村たかしとその支持者は国際社会をさらに不安にさせている。

日本が起こした侵略戦争の歴史的真相を否定することは、中国人民の感情を傷付け、代償は必ず払わせなければならない。また、中日関係の現在と未来にも責任を負わなければならないのだ。


■アリバイ作りの社説?!
 
外交部が持ち出していた、唯一の根拠になりうる「日中間の4つの文書」への言及すらない記事。「中国人民の感情が傷ついた」という何ら重みのないモノを持ち出しているだけで、たんなる感想文の域を出ない駄文で、あまり政治的な重みのある文章ではありません。名古屋旅行ボイコットからエスカレートさせそうな糞青に対する、アリバイ作りのためだけに書かれたのではないでしょうか。

普段は国際社会の動向など気にしない中国が、急に国際社会を持ち出してくるのも、いつもながらおかしなものです。常務委員クラスが出てきてから対処を考えればいいでしょう。SKE48の公演が中止になるのでは、と勝手に気をもむ必要はありません。


■南京代表団への批判 

なお、南京市側代表団長だった劉志偉・市党委常務委員(政法委書記)が、中国国内で批判されている事を付け加えておきます。

南京市劉志偉は中華民族と国人民の恥さらし」(鳥有之郷、2012年2月22日)

劉志偉はその場で抗議することなく、南京人民は平和を熱愛するといったおためごかしの発言しかなかった……、という日本の報道を前提にした上での批判です。その後、南京市は劉が即座に反論したと弁明しています。

センセーショナルな部分だけが切りだされ、ニュアンスは端折られることもある海外報道を鵜呑みにし過ぎるとダメ、という見本のような騒動と言えるでしょうか。私も自戒したいと思います。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年2月24日付記事を許可を得て転載したものです。  

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