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【王立軍事件】薄熙来の独立王国・重慶市に湖南省武装警察が「進駐」―中国(水彩画)

2012年02月25日

■重慶に進駐軍。監視される重慶公安と薄熙来■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年2月25日付記事を許可を得て転載したものです。


■シリーズ:「打黒英雄」の失脚と薄熙来の危機


■薄熙来の辞職願、明報も後追い報道

先日、香港・中国人権民運動情報センターが、薄熙来が辞職願を提出したと伝えました。香港紙・明報も後追い報道。複数の情報源が確保できましたので、いよいよ堅くなって来ました。
(参照リンク:「薄熙来、辞職願提出も政治局は決定下さず=重慶市は「全て正常」とコメント」(明報、2012年2月22日)

記事によると、政治局委員、重慶市委書記の両方を辞したいと申し出たとのこと。王立軍事件が全く解決していないため、決定は持ち越されています。王立軍が反逆罪扱いになるのか、それとも精神異常で片付けられるのかで、薄熙来の責任も違ってくるからでしょう。

政治局委員の解任は中央委員会全会で決定する必要があります。秋に開催される十八大直前の七中全会で薄熙来の処遇が最終的に決定することになるでしょう。この件について明報が周波・重慶市党委宣伝部副部長に問い合わせたところ、「辞職するとかしないとか聞かないでくれ。全て正常だ。最も私は知らないが」と答えつつも、「(薄熙来の行動は)よくわからない」とも。

以前の記事で、21日のニュース番組・新聞聯播で薄熙来が政治局委員の最後に映されたと書きました。ただこの件ですが、政治局委員自体に序列はなく、姓の画数順で並んでいるため最後になっただけだそうです。

趙啓正、「薄熙来は全人代に出席する」と発言」(星島日報、2012年2月24日)

全国政協外事委員会主任である趙啓正は「彼は代表なのだから、来月の全人代会議には出席する」と語り、当分は処分がおこわなれないことを示唆しています。


■薄熙来、レイモンド・ホーと革命歌を熱唱 

重慶市指導部、何厚鏵全国政協副主席と会見」(重慶日報、2012年2月24日)
薄熙来、何厚鏵と会見「厚薄互補」」(大公報、2012年2月24日)

13日以来、実に11日ぶりに24日の重慶日報1面に登場した薄熙来。前のマカオの特首で、今は全国政協の副首席に収まったレイモンド・ホー(何厚鏵)副主席と会見。ホー副主席は「薄書記の指導下で、重慶の改革開放は新しい進歩を遂げた」と絶賛。

薄熙来は「重慶とマカオの交流は幅広く、お互いを支えあう力は強い。「厚薄互補」(何厚鏵と薄熙来のようにお互いを補完しあえば)、発展の可能性は大いにある」と、お互いの名前の一字を使って協力関係をアピールしています。

文化の名作である現代の紅歌は輝く」(重慶日報、2012年2月24日)


ホー副主席の来訪にあわせてまた紅歌イベントを開催。『七子之歌』というマカオ返還用に作られた楽曲も歌われています。『相約一九九七』の香港版みたいなものでしょう。元団員の嫁は聞いたことあるなあ、と申しております。まあ団費を踏み倒して、中学入学の頃に除名になった不真面目な元団員ですので。

最後はお馴染み『歌唱祖国』を、薄熙来とホーら指導者が壇上に立って熱唱。

20120225_写真_中国_重慶_薄熙来


■湖南省の武装警察、重慶市に「進駐」

と、重慶日報の紙面だけ見ればこれまでと変わらない平常運転に見えますが、それは新聞聯播だけを見て中国がバラ色であると判断するようなものです。重慶には湖南省から武装警察が入っており、党中央は薄熙来を全く信用していないことを物語っています。

重慶公安、王立軍事件で調査受ける」(RFI中文、2012年2月24日)

東方日報によると、中央は重慶での万が一に備え、湖南省から1500名の武装警察を重慶に駐在する手配を取っているといいます。陳良宇の時は武装警察が空港、駅、港など全ての交通機関に陣取り、幹部の脱出を阻止せんとする布陣が取られていました。パスポートを取り上げ、香港・マカオへの通行証も没収。

しかし、重慶の警察組織は「騒乱事件防止のため」外部から派遣された武装警察に監視されているのですから、重慶市は党中央に薄熙来と一蓮托生と見られており、信用が置けないとなります。重慶の「独立王国度」は相当高いと言えるでしょう。陳良宇失脚直後の上海も外部の武装警察が進駐するなど剣呑な雰囲気でしたが、警戒レベルは今回の方が上です。

それは、成都米国領事館に公安車両と装甲車で乗り込んだ件も無関係ではないはずです。私はずっと誰の権限で動かしたのかと考えてきたのですが、党中央もこの点に重きを置いているのかもしれません。

武装警察の駐屯で一気にキナ臭くなってきました。薄熙来は党中央への服従をアピールし続けて、政治局委員のまま逃げ切るのか、それとも七中全会で事前解任となるのか。はたまた独立王国としてゲホンゲホンな展開となるのか。これはワクテカですねえ。

■シリーズ:「打黒英雄」の失脚と薄熙来の危機
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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年2月25日付記事を許可を得て転載したものです。  

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