■あまり儲からないのに伸びている航空産業の不思議■*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年2月24日付記事を許可を得て転載したものです。
■儲からない人気商売
あまり儲からないのに、なぜか人気がある商売、それがエアライン・ビジネスだ。
2010年1月にはJALが会社更生法を申請、昨年11月にはアメリカン航空が破産更正法を申請をした。もっとも破綻は航空業界では日常茶飯事だ。最近では、66年の歴史を誇るハンガリーのフラッグ・キャリア、マレブ航空、スペインのスパンエアーが破綻している。
国際航空運送協会(IATA)が過去9年間の世界航空業界についてのリポートを発表している。13日付バンコク・ポストが要領よくまとめているので、ご紹介する。
■黒字の年よりも赤字の年のほうが多い
*画像はバンコク・ポスト。一部データはIATA統計とは異なる。2003年から2011年までの9年間の統計だが、世界航空企業の利益を合算すると、赤字(-1~-4.6%)の年が5年間。残る4年間の黒字も純利益率は1.1~2.9%にとどまる。9年間の合算では赤字が479億ドル(3.8兆円)、、黒字が424億ドル(3.4兆円)で、差し引きマイナスとなる。
IATAによる2012年の予想では純利益率0.6%とわずかに黒字だが、欧州の金融システムに問題が生じれば、
マイナス1.4%の赤字に転落するという。
エアライン産業は経済の世界的な拡大、国際観光の拡大に伴い、定期便乗客数は大きく増加している。2003年の18億5000万人から2011年には28億4000万人と約1.5倍に膨れあがった。しかし原油価格の高騰、人件費の高さ、過当競争が低利益体質を生み出している。
過去40年間というスパンで見ても、平均利益率はわずか0.3%。利益率二桁もザラにある他業界から見れば、「よくビジネスを続けていられるなあ」と驚かれる業界である。
■エアライン業界のプレイヤーが減らない理由
こんなに儲からないのに、新たに多くの企業が参入し、また破綻しても会社そのものが消えるケースは少ない。それはなぜだろうか?
第一にこの業界に夢があるからだろう。かつてほどの人気ではないが、パイロットやスチュワーデスは花形職業だ。また航空産業は世界各地で伸びる成長産業に見えるからだろう。実際、乗客数や収入は(リーマンショック時の落ち込みを除き)高い伸びを示してきている。
第二にこの業界には成功物語がある。シンガポール航空やエミレイツ航空など業績のいい企業もあるからだ。サクセス・ストーリーが多くのプレイヤーを呼び寄せる。今や全世界の世界の航空会社は1000社に達したという。
第三にフラッグ・キャリアーと呼ばれる国有航空会社が多いことも要因だろう。ゆえに国際的な合併ができない地域も多く、プレイヤーの数が減らない要因となっている。
■膨れあがる航空機需要
これだけプレイヤーの数が多いのだから航空機需要は膨大だ。2010~2030年の20年間にエアバス社は2万7800機、3.5兆ドル(1機平均1.26億ドル)。ボーイング社は3万3500機、4兆ドル(1機平均1.19億ドル)の需要を見こんでいる。うち代替需要は44%。また需要の3分の1はアジアだという。
2010年時点の航空業界保有機数は1万8890機。2030年には倍の3万6300機にまで膨れあがる。以前にも取り上げたことがあるが、パイロット、整備士の数が不足する問題も起きそうだ。